ワクチンが登場する前は、ほとんどの子どもが15歳になるまでに麻疹にかかっていた。CDCの推定によると、米国では毎年400万人が感染し、5万人近くが入院、500人が死亡。WHOによると、世界全体での麻疹の死者は毎年約260万人で、2、3年ごとに大流行を引き起こしていた。
1963年にワクチンが登場し、普及したことで状況は一変した。ワクチン接種の推進に成功した先進国などでは、数十年で麻疹がほぼ消滅。天然痘や牛疫のように、麻疹ウイルスの根絶を期待する医療専門家もいた。だがワクチン接種をためらう人が増え、接種率が低下したことで、英国やアルバニア、ギリシャなどは麻疹排除国の認定を取り消されている。
米国も最近の集団発生により、排除国認定を失う可能性がある。専門家は、ワクチンが普及し始めて以来、麻疹の存在感が薄れているため、麻疹がもたらすリスクに対して人々が無関心になっていると指摘。ワクチンを接種していない場合、麻疹ウイルスにさらされると100人中90人が感染すると考えられており、ワクチンを接種しない人が少なくても、感染拡大を防ぐ上で妨げとなると懸念を示している。
CDCのワクチン接種部門トップは「麻疹の患者と死者の増加は驚異的だが、残念ながら、ここ数年のワクチン接種率の低下を考えると、思いがけないことではない。どの国や地域社会においても、ワクチン接種が不十分であれば麻疹患者の発生はリスクとなる」と警告している。
(forbes.com 原文)