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2023.11.27

「余市町産ワイン」を世界ブランドにした地域経営 戦略的マーケティング×DXが新たな可能性を創出する

戦略の欠如、予算の不適切な投下。これらの主たる原因を正そうともせず、着々と沈没を進行させている地方自治体が日本にはまだまだ多い。まったく違う流れを起こしているのが、北海道余市町だ。その町長である齊藤啓輔に、NEC 観光DXチーム長の山本啓一朗が話を聞いた。


─齊藤様は2018年に外務官僚から北海道余市町の町長に転身され、22年に2期目の再選を果たされました。就任以来、いかなる「背景および課題」を認識し、いかなる「戦略的判断」をもとに動いてこられたのでしょうか。

齊藤啓輔(以下、齊藤。写真左):余市町の課題は、日本全体が抱えている課題と言えます。すなわち、「極度な人口減少が起こり、高齢化が進行する」という未来像がはっきりと見えているのが大前提です。

そうしたなか、移住に力を入れることなどによって人口を(長期的に)増加させようとする成長戦略には無理があると私は考えています。大切にしなければならないのは、日本にいる1,718人の首長がそれぞれの地域において「成長産業の芽に集中的に投資する」ことです。

山本啓一朗(以下、山本。写真右):余市町では、その芽がワインだったのですね。

齊藤:地域を残していくために必要なのは、所得です。所得は地域のコミュニティの維持・向上につながるわけですから。余市町の場合、所得とコミュニティの長期的活性化につながる芽は「ワイン」であると私は見極めました。

山本:ワインはマーケットが世界に広がっていますし、地元に観光客を呼び込む原動力にもなります。

齊藤:そうです。マーケティングする相手(ターゲット)をひとつのトライブ(部族)と考えた際、「富裕層」「ワイン好きの層」「美食好きの層」「知的好奇心の高い層」などを狙うことができます。年齢・性別・人種を超えて、この地球上でも非常に優良なトライブを余市町の熱烈なファンに変えていける可能性があるのです。

山本:そうしたトライブに余市町をアピールしていくために、どのような施策を打ってこられたのでしょうか。

齊藤:ひとつは、町内で栽培されている「ワイン用ぶどう品種の構成」を変えていくことです。余市町では昭和の時代からドイツ系のケルナーなど寒冷地向けの品種が栽培されてきました。しかし、世界中で売れているワインは、シャルドネやピノ・ノワールなどフランス系の品種でつくられたものです。これから世界のトライブにアピールしていくなら、これらの品種を栽培するほうが合理的なわけです。そのため、町内の生産者に対し、「品種を変更してくれるのであれば、従来の1.5倍の補助金を出します」という施策を発表しました。

山本:町内の反応はいかがでしたか。

齊藤:見事に炎上しました。「お前は、これまでに俺たちがやってきたことを否定するのか?」という反応です。しかし、私はそうした声に対して丁寧な説明を繰り返してきました。「否定しているわけではありません。ワインを愛しているからこそなのです。余市の土壌はシャルドネやピノ・ノワールの栽培に適しています。未来に向けて、いま布石を打たないといけないのです。品種転換すれば、所得も上がります」と。

山本:齊藤様は、ご自身が大変なワイン好きでいらっしゃいますからね。

齊藤:外交官時代から大使公邸で会食をする際にワインのアレンジを任せてもらうことなどもあり、「ワインは国際言語である」という認識で仕事をしてきました。自宅にはワインセラーがありますし、自ら好んで飲んでもきました。

ワインツーリズムが余市町の未来を照らす

―そうした齊藤様の「マーケティングに対する深い理解」と「ワインに対する深い愛情」が、「世界のベストレストラン50」で何度も世界一に輝いているレストランのワインリストに余市町産ワインが掲載されるという成果にもつながったのですね。

齊藤:はい。デンマーク・コペンハーゲンのレストラン「noma(ノーマ)」には私自身が訪問して、プレゼンテーションを行いました。同店のワインリストに掲載されたのは、余市町のワイナリー「ドメーヌタカヒコ」が醸造した「ナナツモリ ピノ・ノワール 2017」です。

北海道と北欧の気候や食文化には共通点が多いのです。つまり、塩漬けや燻製といった保存食、ジビエ(野生鳥獣の肉)料理など、食材の扱い方に通じる部分があります。

山本:テロワール(ぶどう畑を取り巻く自然環境要因)的にも、ガストロノミー(食事と文化の関係性の考察)的にも、「noma」で提供される料理と余市町のワインは相性がいいということですね。

同店のワインリストに掲載されたことにより、「余市町は世界でも最高峰のピノ・ノワール産地」というブランディングも打ち出せるようになったのですね。非常によく計算された戦略だと感服しています。

齊藤:今、余市産のワインは人気が高まり、入手困難な状況が続いています。余市町は「海の幸」と「大地の幸」の両方に恵まれた土地柄です。

ワインを地域経済活性化の芽として大事にすることは、地元のワイナリーはもちろん、ぶどう畑、観光客が訪れるホテルやレストランなどのサービス業、そこで提供される料理の食材に関係する農業や漁業までが広く、大きく恩恵を受けることにつながります。

山本
:その土地ならではの風土や文化を感じながら、その土地ならではの食とともにワインを楽しむ。そうした旅のスタイル=ワインツーリズムが余市町の未来を明るく照らす光になっているということですね。

観光×デジタルによる「観光DX」で日本全国を活性化する

山本:今、NECでは観光にデジタルをかけ合わせた「観光DX」を自治体の中長期的な戦略に取り入れ、地域のブランドイメージを向上させ、地域全体の付加価値を高めていく取り組みを推進しています。

23年6月から北海道エリアで、北海道新聞社と共創し地域経済活性化に向けて、LINEをタッチポイントとしたサービスを展開しているのもその一例です。これは地元には集客・接客の高効率化を、観光客にはさまざまなシーンにおける利便性向上や周遊促進を実現するものです。

また、ユーザーの行動データを収集・蓄積することにより、観光施策の磨き込みや新たな取り組み創出にも活用できるなど、観光地経営の高度化を促すものでもあります。まさに余市町のワインツーリズムのような地域活性化の成功モデルをさらに拡大・展開していくうえで、役立つ施策だと考えています。

齊藤:DXによって一瞬で解決するようなことが遅々として進んでいない。この国の観光の実情はまだまだそのようなレベルにありますから、私もテクノロジーには大いに期待しているところです。

山本:NECは各地域を活性化していくと同時に、「日本の観光産業全体がインバウンド需要も取り込みながらグローバルで勝ち残っていくためにはどうしたらいいのか」という着眼点でも動いています。その際には「データ流通」が必要だと考えています。

齊藤:北海道内においても各エリアが観光客を奪い合うような競争をするのではなく、道全体の潤いを考えることが必要です。さらには、日本全国の自治体が持続的に成長していけるような共創関係を築いていかなければなりません。

山本:旅行者にとっては、自治体の管轄区域(がどこからどこまでか)などはどうでもいい話です。その線引きを取り払って、日本全国で点を面にしていくデジタルの仕掛けがこれからは欠かせないでしょう。

齊藤:今後、そのような取り組みでご一緒していけるといいですね。



観光DXサービス「TripEat北海道」で
周遊回遊キャンペーンを展開

WEBメディア「Trip Eat 北海道」を起点とした北海道の「食と観光」の応援プロジェクトが始動。ビール醸造発祥の地・札幌の魅力を再発見する「創成イーストビールめぐり」は12月初旬まで。お得な限定クーポンやスタンプラリーも実施中。小樽の情緒あふれる花園宵街めぐりスタンプラリーは大晦日まで。

TripEat北海道
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さいとう・けいすけ◎1981年生まれ。北海道紋別市出身。早稲田大学卒業後、外務省入省。欧州局ロシア課や在ロシア日本国大使館での勤務を経て、2014年に内閣総理大臣官邸へ。16年に地方創生人材支援制度で自ら希望し、北海道天塩町副町長に就任。18年に天塩町副町長を任期満了後、余市町長選挙に出馬して当選。

やまもと・けいいちろう◎NEC クロスインダストリー事業開発部門 シニアプロフェッショナル兼 観光DXチーム長。東日本大震災後の2012、13年度には復興庁に出向し、政策調査官として石巻市の水産加工業の復興などを支援。14年より東京2020オリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップ2019のマーケティングを通じて、地域活性化の取り組みを推進。

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