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2023.11.17 16:30

IBM、Xへの広告掲載を停止 ナチス賛美投稿の近くに掲載されたため

写真:Sundry Photography / Shutterstock

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IBMは、同社の広告がX(旧ツイッター)上で、反ユダヤ主義・ナチを賛美する投稿の近くに表示されているという報告を受け、Xへの広告掲載を一時中断した。これはイーロン・マスク所有のソーシャルメディア・プラットフォームにとって、また新たに広告掲載への打撃となった。

左翼傾向のメディア監視団体「Media Matters for America」は米国時間11月16日に、アップル、Xfinity(エクスフィニティ)、オラクル、そしてIBMの広告が、アドルフ・ヒトラーを賛美し、ホロコーストを否定する投稿の下に表示されていることを示す報告を公開した。

IBMはフォーブスの取材に対し、「ヘイトスピーチや差別は一切許さない」とし、「Xでのすべての広告を直ちに停止した」と述べた。

フォーブスはXfinity、オラクル、アップルにもコメントを求めている。

Xのリンダ・ヤッカリーノCEOは米国時間11月16日午後の投稿で、「Xの視点は常に、あらゆる差別は全面的にやめるべきであるという、非常に明快なものです」と語り、Xは「反ユダヤ主義や差別と闘う努力について極めて明確に表明してきました」と付け加えた。

大企業たちの広告が親ナチスの投稿の近くに掲載されているというニュースは、マスクが反ユダヤ主義的な陰謀論を支持する投稿をして炎上しているときに飛び込んできた。マスクは、米国時間11月15日、「白人に対する【略】弁証法的な憎悪を押し付けている」とユダヤ人を非難するXの投稿に対し、「あなたは現実の真実を語っている」と返信した。

マスクは以前から反ユダヤ主義的な言い回しを口にしていると非難されており、ジョージ・ソロスをマーベルの『X-MEN』シリーズに登場するユダヤ系悪役のマグニートーになぞらえた投稿をしたことで、名誉毀損防止同盟(ADL、米国最大のユダヤ人団体。反ユダヤ主義と合法的に対決することを目的としている)から批判を受けたこともある。ソロスの一件後、マスクは自分は反ユダヤ主義者ではないと述べ、「どちらかといえば、親ユダヤ主義者だ」と発言した上で、これからもXで物議を醸す意見を述べ続けると付け加えた。

昨年10月にマスクがこのソーシャルメディア企業を買収して以来、同社はツイッター時代と同じ水準の広告主を維持することに苦労している。研究者によれば、マスクがツイッターを買収した数週間後、反ユダヤ主義的な投稿やヘイトスピーチを含む投稿が激増したという。

ロイター通信によれば、マスクは買収後、「言論の自由」を「最優先」したいと発言し、投稿規制の緩和を示唆した。このため広告主はこのプラットフォームから逃げ出し、昨年10月以降、広告収入は前年比で55%減少している。ヤッカリーノはその後、大手広告主のほとんどがプラットフォームに戻ってきたと述べているが、Media Mattersの別の報告では、多くの企業が以前よりも支出をはるかに減らしていることが明らかにされた。たとえば、ヤッカリーノはVISAを復帰した広告主として挙げたが、Media Mattersの調べでは、VISAは最近12週間でわずか10ドル(約1500円)しか使っていなかった。一方マスクがプラットフォームを買収する前の12週間ではおよそ7万7500ドル(約1170万円)だった。

米国時間11月16日夕方現在、フォーブスはマスクが2407億ドル(約36兆2400億円)の資産を持つ、世界で最も裕福な人物であると推定している。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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