宇宙

2023.11.18 14:00

1年前、地球を襲った大規模なガンマ線バースト 20億光年先から電離圏を擾乱

欧州宇宙機関(ESA)の研究員で、太陽物理学者のローラ・ヘイズは「この擾乱は、地表の上空わずか数十キロメートルに位置する地球の電離圏の最下層に影響を与え、大規模な太陽フレアに相当する痕跡を残した」と説明している。

地球史における大量絶滅

超新星からのガンマ線が地球を襲ったのは、GRB 221009Aが初めてではなかったはずだ。ピエルサンティは「天の川銀河(銀河系)内でガンマ線バーストが起きたら、どのような結果を招く可能性があるかをめぐっては、大きな議論が巻き起こっている」と話す。

今回の最新研究は、銀河系内の超新星が電離圏に影響を与え、オゾン層をも損傷する恐れがあるとする説を補強している。オゾン層は、太陽からの危険な紫外線から生物を守っている。

地球史における大量絶滅は、GRB 221009Aに類似の、しかしはるかに強力な現象によって引き起こされた可能性がある。

ガンマ線バーストを観測するESAのインテグラル宇宙望遠鏡の想像図(ESA. Illustration by D. Ducros)

ガンマ線バーストを観測するESAのインテグラル宇宙望遠鏡の想像図(ESA. Illustration by D. Ducros)

天文学の最大級の謎

GRB 221009Aを検出したのは、ESAのインテグラル宇宙望遠鏡。天体をガンマ線、X線、可視光で同時に観測する機能を備えた初の宇宙望遠鏡だ。ESAによると、2002年10月に打ち上げられたインテグラルは、ガンマ線などの天文学の最大級の謎を解明することを目的として、爆発現象や放射現象、元素の形成、ブラックホールや他の奇妙な天体などの調査を行っている。

GRB 221009Aが地球大気におよぼした影響を検出したのは、中国の地震電磁波観測衛星「張衡(Zhangheng)」だ。張衡は2018年、中国とイタリアの共同宇宙ミッションで打ち上げられた。電離圏上層部の電磁気的挙動の変化を観測している。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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