アップルの広報担当者はBloombergに対し、RCSは現在iPhoneが使用しているメッセージング標準であるMMSやSMSと比べて、Android端末との間に「よりよいインターオペラビリティ(相互運用性)をもたらす」と信じていると話した。
RCSは、現在iPhoneユーザー間で使われているメッセージングシステムである「iMessageと共存して機能する」と広報担当者は述べ、iMessageはRCSよりも安全であり、SMSとMMSはバックアップとして今後も利用可能であることを指摘した。
RCSとは「Rich Communication Services」の略で、2008年に世界各国の通信事業者が参画する業界団体である「GSMA」によって、従来のテキストメッセージングシステムであるSMS(ショート・メッセージング・サービス)に代わるものとして採用された。
RCSはインターネットを利用し、これはGIFや高解像度の写真や動画の送信、グループメッセージング、エンド・ツー・エンド暗号化などに対応可能であることを意味している。一方、SMSは通信会社の回線を利用しし、一部の機能に対応できない。
アップルのRCS採用によって、ユーザーはテキストメッセージを通じて自分の位置情報を他者と共有できるようになると同社はいう。
グーグル広報はフォーブスの取材に対し「本日、アップルがRCSを採用する一歩を踏み出したことを歓迎する」と話し、同社とGSMAによる取り組みは「メッセージングをより公平で安全するもの」であると説明した。
アップルはフォーブスのコメント要求にただちには回答していない。
RCSの採用によってシステムの互換性が高まった後、果たしてAndroidのメッセージがiPhone上に緑色の吹き出しとして表示されるのかどうかは定かではない。
グーグルは今年8月に「#GetTheMessageキャンペーン」を立ち上げ、アップルにRCSメッセージング標準の採用を迫った。それ以来、同社は別のキャンペーンでもアップルに対して、グーグルが「近代的業界標準」と呼ぶものに切り替えるよう促し、昨年12月に30周年を迎えたSMSに対する「ハッピーバースデー」メッセージでは、iPhoneは「90年代から抜け出していない」と揶揄している。
今年9月にアップルCEOのティム・クックは、AndroidからiPhoneへのメッセージングに関して、アップルユーザーから不満を聞いていないと話した。今年初め、グーグルはラスベガスで掲示した新年をテーマにした広告で「2022年には失敗してしまったかもしれないが、画質の悪い写真や動画を修正するのを諦める必要はない」と述べ、その後、RCSを実装するためのコードを表示したとBusiness Insiderは報じた。アップルとEpic Gamesの2021年の裁判資料には、アップルの幹部であるフィル・シラーが「iMessageをAndroidに持っていくことは当社にとって益より害の方が多い」と語ったと書かれている。
アップルによるiPhoneのRCS対応は、テック企業が不公平な競争の場を作ることを制限するEUの新しい法律であるデジタル市場法に関連しているかもしれない。同法の下では、iMessageを含むメッセージングサービスは、サービスが大規模で人気がある場合、他社に公平な相互運用性を与えなければならないとThe Vergeは報じている。
(forbes.com 原文)