手数料を除く落札価格は4700万ドル(約71億円)。過去にオークションで落札された自動車の最高価格には届かなかったが、いずれにせよ目を見張る金額であることに違いはない。ちなみにオークションにおける自動車の史上最高落札価格は、2022年にメルセデス・ベンツ300SLRウーレンハウト・クーペが記録した1億3500万ユーロ(当時の為替レートで180億円余り)。なお、オークションに限らずフェラーリに付けられた最高価格としては、1962年製フェラーリ250LMが、2018年に個人売買で5200万ポンド(当時の為替レートで約76億円)の値が付いたと言われている。
オークションハウスのRMサザビーズが「ザ・ワン」と称するこのシャシー番号3765は、フェラーリの自社ワークスチームであるスクーデリア・フェラーリからレースに参戦した唯一の「GTOティーポ 1962」である。これ以外のGTOはすべて、他のチームやプライベーターがフェラーリから購入してレースに出場させたものだ。
また、この車両が特別なのは、250GTOとして生まれたわけではなく、はじめは330LMとして作られ、後に250GTO仕様に改造されたためでもある。シャシー番号3765は、最初から排気量4リッターのエンジンが搭載された唯一のワークスGTOだ。そのV型12気筒エンジンはジョアッキーノ・コロンボの設計を踏襲するが、排気量は250の3リッター(250cc×12気筒)から4リッター近くまで(330cc×12気筒)拡大されている。さらにドライサンプ潤滑に変更され、特別なキャブレターとカムシャフトでチューニングされていたと、RMサザビーズは説明している。