欧州

2023.11.15 10:00

ロシアの自爆ドローン、貫通力高い自己鍛造弾を使用 「鳥かご装甲」無意味に

ロシア軍のランセット自爆ドローン(Shutterstock.com)

対策はある。米陸軍はイラクでEFPを撃退するため、多くの車両に複合装甲を追加した。ただ、最大の問題は重量だった。例を挙げると、3トンのハンビー軍用トラックには1トンの対EFP装甲を追加することになり、持ち前の機動性は大きく制限された。
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爆発反応装甲(ERA)も有効かもしれない。米陸軍歩兵将校のビンセント・デラニー大尉は米陸軍士官学校の現代戦争研究所(MWI)に寄せた小論で「(被弾すると)小さな爆薬が装甲の外側に向けて起爆し、内側への爆風を遮るこの装甲は、1970年代以来、HEATやEFPを撃退するために使用されてきた」と書いている。

爆発反応装甲の場合も車両の重量は増すことになる。それ以上に厄介なのは、この装甲が爆発するという点だ。車両の装甲がもともと薄い車両に爆発反応装甲を追加した場合、被弾時にこの装甲自体の爆風で車両がダメージを受けることは避けられない。「爆発反応装甲を付ける場合、必ずその裏側(戦車側)に(圧延鋼板のような)受動装甲がなくてはいけない」と英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のサム・クラニーエバンスとシッダールト・コーシャルは解説している。

いずれにせよ、ウクライナ側はなんらかの対策を講じる必要がある。電波妨害装置でドローンの運用を妨げたり、対空砲でドローンを撃ち落としたりするといった手もあるだろう。重量級の車両であれば複合装甲や爆発反応装甲なども使えそうだ。
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とはいえ、こうした措置を講じても、依然としてウクライナ軍の多くの車両はEFPに対して無防備なままかもしれない。とくに、爆発反応装甲が付けられない軽量級の車両は危うい。スラットやケージといった従来のドローン対策ではもはや十分でない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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