ところが大きな問題が1つあった。100万台のEV車に対して、公共の充電場所がわずか8万カ所しかない、ということだ。特に地方の幹線道路からはずれた場所では充電場所を見つけるのが難しく、ユーザーや購入検討中の人にとって大きな不安要因となっていた。
そこで、以前から「EV車のリーディング・カンパニー」をもって任じているルノーが、その解決に乗り出した。充電器版の民泊システムとも言えるアプリ・システム「ルノー・プラグイン(Renault-Plug-Inn)」を開発したのだ。
Renault - Plug Inn (case study) Creative Strategy Grand Prix at the Cannes Lions 2023
この事例は、今年6月にフランスで開催されたカンヌライオンズ2023において、クリエイティブ・ストラテジー部門グランプリ等を受賞した。カンヌライオンズとは、世界の広告界やマーケティング界で飛びぬけて大きな影響力を持つアワードである。
充電用のAirbnb?
フランスの田舎町では、個人が各家庭用にEV車に使える充電器を所持している場合が多く、その数は全土でなんと68万戸以上にものぼる。公共充電場所の数に比べると、圧倒的に多いことがわかる。そこでルノーは、充電器を所持する個人宅をネットワークして、充電器版Airbnb「ルノー・プラグイン」を開発した。内容を解説した事例ビデオの中でも、 “これは充電用のAirbnbだ”と述べている。
Renault - Plug Inn (case study) Creative Strategy Grand Prix at the Cannes Lions 2023より
なお、サービス名の「Renault-Plug-Inn」のInnは“宿泊施設”の意味であり、「ルノー・プラグ民宿」と訳すことも可能だ。