7200万ドル(約109億円)の製作費が投じられたとされる『コヨーテvsアクメ』の公開は、ワーナー・ブラザースが3000万ドルの税金の控除を受けるために棚上げされたとデッドラインは報じている。
ワーナー・ブラザースは、今から1年前にも9000万ドルを投じた女優レスリー・グレースが主演の映画『バットガール』をお蔵入りにし、物議を醸していた。この映画は、テスト試写での観客の反応が今1つで、同社は公開を中止して税金の控除を受けるほうが合理的だと判断したと報じられていた。
ワーナー・ブラザースは、昨年の公開が予定されていたアニメ映画『Scoob!A Holiday Haunt』に関しても、税控除を目的に製作を中止していた。
一方、AMCは、最大4億7500万ドルの評価損を計上するための努力の一環として、ドラマ作品『61st Street』と『Invitation to a Bonfire』の製作を途中で取り止めたとバラエティは報じていた。ただし、『61st Street』はその後、CWテレビジョンネットワークでの放送が決定した。
デッドラインによると、『コヨーテvsアクメ』は、テスト上映でファミリー映画としては標準以上のスコアを獲得していたという。製作中止の決定を受けて、デイブ・グリーン監督はX(旧ツイッター)の声明で、製作チームに感謝すると同時に「打ちのめされている」と語った。
映画監督のベン・デビッド・グラビンスキーは、『コヨーテ対アクメ』がすばらしい映画で「ロジャー・ラビット以来の傑作」だと評価した。彼は、優れた商業映画が、税金対策のためにお蔵入りにしたとワーナー・ブラザースを批判した。
映画スタジオは、コスト削減のためにプロジェクトをキャンセルすることで、数千万ドルのマーケティング費用や宣伝費用の節約できるとヴァニティ・フェアは報じている。ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、2022年のワーナー・メディアとディスカバリー社の合併後、コスト削減の一環として、多くの完成済みの作品をキャンセルしている。
あるヒットシリーズの関係者は、デッドラインに対し、ストリーミングにおけるコンテンツの飽和が、作品のお蔵入りの一因になり得ると語った。「作品が多すぎるため、映画スタジオが税金の控除や、コストの節約効果が見込める場合に、公開を見送るのは当然の判断だ」とその人物は指摘した。
(forbes.com 原文)