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2023.11.27

積水化学が新技術で「守破離」に挑む 循環型社会を目指す世界初のバイオリファイナリー事業とは

積水化学工業のバイオリファイナリー開発事業が順調だ。本格稼働すれば、消費の最終地点である「ごみ」を資源化し、プラスティック製品を生み出すことが可能となる。前人未踏の究極とも呼べるサーキュラーエコノミーの実現に必要な環境やアプローチとは。


「可燃性ごみを分別することなくガス化し、微生物の力でエタノールに変換する新技術(BRエタノール技術)により、可燃性ごみ→エタノール→プラスティック製品→可燃性ごみという、これまでになかった資源循環の実現が可能になります」

積水化学工業(以下、積水化学)がこのバイオリファイナリー事業開発をスタートさせたのは2008年のことだ。現在は開発の最終段階に入っており、岩手県久慈市の実証プラントでは実際に可燃性ごみからエタノールが生成され始めている。コーポレート新事業開発部長である吉岡忠彦は次のように続ける。

「本格稼働は、26年以降を目指しています。この技術により生まれたエタノールは、プラスティック製品の原料となりうるほか、持続可能な航空燃料(SAF)としても活用できます」

つまり近い将来、従来のように石油を使うことなく、またCO2を大量に排出することもなくプラスティック製品を製造できるうえ、航空燃料も生み出せるようになるということだ。しかも、いま世界的に削減が求められているごみ(可燃性ごみ)を原料とし、自然界に存在する微生物の媒介によって資源を生み出すという、まさに複数の社会課題の解決に貢献するサステナブルな技術といえるだろう。

「この資源循環は当社だけでは実現できません。可燃性ごみの回収、エタノールからポリエチレンの生成、プラスティック製品化など、各フェーズにおいてさまざまなパートナー企業との協業が不可欠です」

その第一弾となる取り組みも始まろうとしている。資生堂と住友化学との3社協業によるプラスティック製化粧品容器の新たな循環モデル構築だ。実質的な稼働はこれからだが、今までは分別しにくいという理由で再資源化が難しかったプラスティック製化粧品容器の循環が可能となる。

「UNISON®」ブランドで新しい価値観をつくっていく

新しい資源循環の実現においては、新たな世界観、価値観を消費シーンに浸透させていく必要があると吉岡は話す。

「この資源循環で生まれる製品は、従来の石油由来の生産品と比べると少し割高になってしまうでしょうから、消費者には『安いから』『おしゃれだから』だけではなく、『サステナブルだから』『資源循環に貢献したいから』という意識で商品を選んでいただく必要があると考えています」

同社は、すでにこの事業のブランド「UNISON®(ユニゾン)」を立ち上げており、今後はブランドを通した新しい世界観づくりにも注力していく。ユニゾンとは、皆で同じ旋律を奏でるという音楽用語でもあるが、この世界観に共感する人が、皆でより良い未来をつくっていくという意味が込められている。

「例えば、コンビニや小売店の一角に『UNISON®』を使った商品が並ぶコーナーがあって、この資源循環に共感した消費者が手に取る―そんな光景を実現できたらうれしいです。製造→消費→廃棄→製造......の循環の輪を当社・パートナー企業・消費者がひとつの輪になってまわしていくイメージです。いま抱えている社会課題は我々の時代で解決したい、子どもや孫の世代によりよい世界を引き継ぎたい思いがあります」

もちろん、それは一朝一夕でできるようなことではない。吉岡は、まずはこの思いに共感してもらえる企業やブランドとともに、最初の小さい輪をつくっていくところから始めたいと話す。


イノベーションを支える創業時からのDNAとトップの姿勢

積水化学では、資源循環に貢献するバイオリファイナリー事業に15年以上もの年月とコストを投資し続けてきた。その一方で、脱炭素・災害時のレジリエンスに貢献するペロブスカイト太陽電池、定置型リチウムイオン電池の開発にも積極的に取り組んできた。これらはいずれも社会課題の解決を担う大きなイノベーションであり、各方面から注目を集めている。収益をあげる事業との両輪経営がベースにあり、高い技術力を備えているとはいえ、こうした難しい開発に果敢に挑み、イノベーションを次々と創出できる背景には何があるのだろうか。

「それが当社のDNAなのです。1947年の創業以来、社会のさまざまな課題に対して技術力で解決策を提案し続けてきました。単なる技術革新ではなく、社会的課題の解決につながっていること、世の中で喜んでもらえるインパクトがあること。これが当社のイノベーションの真髄だと思います。これからもそんなイノベーションを起こし続けていくんだ、という気風が企業風土として脈々と受け継がれています」

そしてもうひとつ、イノベーション創出を大きく後押ししているのが、“失敗を許容する”というトップの姿勢だ。

「イノベーションに失敗はつきもの。失敗を責めるような組織では誰もチャレンジしなくなります。トップの姿勢や、積極的にチャレンジできる文化が根付いていることも大きいですね」

このバイオリファイナリー事業においても新たなチャレンジは続いている。現在、エタノール生成に続く一手として、国のグリーンイノベーション基金の支援を受けながら、高機能な化学品の製造技術の開発にも着手しているという。その技術が確立されれば、世の中のあらゆるプラスティック製品をすべて可燃性ごみから生み出すことも夢ではなくなるのかもしれない。

「いま我々が取り組んでいるのは、世界でまだ誰も成しえていないこと。ごみからエタノールができるなんて、まるでSF映画の世界の出来事だと思いませんか。そう考えると、私自身とてもワクワクしていますし、この事業にかかわれていることを誇りに思います」


価値あるものを次世代へ「破」から「離」を目指す

吉岡は、ライフワークとして平安中期から鎌倉時代にかけて大流行した伝統芸能「今様(いまよう)」を受け継いでいく活動にも携わっている。

「『今様』は800年もの間、途絶えてしまっていた時代があります。どんなに素晴らしいものも、誰かが受け継いでいかないとそこで終わってしまう。そ
れはとてももったいないことです。価値ある素晴らしいものは、しっかりと次世代へつないでいきたい」

この思いは、“新しい価値で、今の社会をさらに良くする。それをしっかりと次の世代につないでいく”というバイオリファイナリー事業の根底にあるものとも通じている。自ら今様や居合道を実践する吉岡は、バイオリファイナリー事業について、日本の芸道・芸術の修業や発展における過程を示す言葉「守破離」になぞらえた。

「既存事業を伸ばすことを『守』とするならば、技術革新は『破』であり、世の中に喜びを与えるイノベーションは『離』。バイオリファイナリー事業はまさに『離』と呼べるものだと思います」

積水化学は、その実現に向けた一歩を大きく踏み出そうとしている。

積水化学工業 バイオリファイナリー事業
https://www.sekisui.co.jp/bio-refinery


よしおか・ただひこ◎積水化学工業コーポレート新事 業開発部長。1991年入社、機能性フィルムの開発、技術サービスを国内外で担当。自動車関連事業企画室長、SEKISUI DLJM MOLDING PRIVATE LTD.(インド)取締役、CEOを歴任。2016年より高機能プラスチックスカンパニー開発研究所の開発企画部長。20年より現職。

Promoted by 積水化学 / text by Rie Suzuki / photographs by Yuji Kanno / edited by Hirotaka Imai

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