欧州

2023.11.14 10:00

レオパルト2戦車とM2歩兵戦闘車、ヒットエンドラン戦術でロ軍の進撃阻む

レオパルト2A6戦車(Karolis Kavolelis / Shutterstock.com)

ウクライナ軍の第47独立機械化旅団には、ドイツとポルトガルから今年初めに供与されたレオパルト2A6戦車21両のうち、まだ17両が残っているとみられる。

砲身の長い55口径の主砲を備えた重量69トン、乗員4人のこのハイテク戦車は、ロシアがウクライナで拡大して22カ月目になる戦争で使われている戦車としては、最高の部類に入るものだ。ただ、ウクライナ軍ではもともと数が少なかったうえ、このところ損失が続き「絶滅危惧種」の戦車にもなっている。

だが、第47旅団唯一の戦車大隊はそんなことなど気にするそぶりも見せていない。戦車兵たちは相変わらず積極的に戦い続けている。第47旅団の5カ月におよぶ最初のローテーション中、ずっとそうだったように。その期間、第47旅団は、ウクライナ軍が6月初旬に南部で始めた反転攻勢で最初の(そして大きな損害を出した)攻撃の1つを主導していた。

南部のザポリージャ州で4カ月にわたって主力として戦った第47旅団は、10月に東部のドネツク州に転戦した。1カ月にわたり、ロシア軍の数個旅団による猛攻にさらされているウクライナ軍の防御拠点、アウジーイウカの守備隊に加勢するためだ。

第47旅団は南部で生き延びてきた18両のレオパルト2A6のほか、100両かそこらの米国製M2ブラッドレー歩兵戦闘車100両を引き連れてきた。アウジーイウカの脆弱(ぜいじゃく)な北面に到着するや、さっそく戦闘を開始し、ほどなくしてロシア軍の砲撃でレオパルト2A6を1両失った。

ロシア軍の歩兵が果敢にも撃ち込んだロケット推進式てき弾(RPG)が、ついていたというべきか、装甲の薄い側面に命中したのだった。一部始終を見ていた「ヴォヴァ」というロシア軍のドローン操縦士は「レオパルトがやられたぞ」と無線で叫んでいる。「レオパルトが初めてやられた!」

だが、仲間の1人はもう少し冷静だった。炎上するレオパルト2A6から脱出する乗員たちに罵声を浴びせるヴォヴァに対して「声がでかいぞ。レオパルトはまだたくさんいる」とたしなめた。

はたして、第47旅団は以後もアウジーイウカ周辺で反撃を続けている。M2とレオパルト2A6が急襲チームを組み、ロシア側の陣地に近づいては数発射撃し、猛スピードで走り去るという攻撃を繰り返している。

レオパルト2A6はこうしたヒットエンドラン戦術に向いている。レオパルト2A6は速い。さらに重要なのは、後進するのも速いことだ。レオパルト2のような北大西洋条約機構(NATO)式の戦車は、基本的にリバースギアが充実している。対してソ連式の戦車は、ガスタービンエンジン搭載のT-80戦車のような例外はあるものの、概して後進速度は遅い。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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