そして今、物議を醸す別の「静か」なトレンドが話題となっている。古い慣行だが「静かな人員削減」という新しい名称がついている。これは、退職金を節約できるよう、いずれ辞めることを期待して雇用主が労働者を配置転換するというものだ。
静かな人員削減、ITや小売業界で多く
製造サプライチェーンのソリューションプロバイダーであるZetwerkのチームは、この物議を醸している現代の人員削減方法について詳しく調査するため、さまざまな業界の企業経営者と従業員を対象に調査を実施した。調査参加者1015人の内訳は、IT36%、エンジニアリング・製造27%、ヘルスケア11%、小売と教育が各8%。世代別では、ミレニアル世代52%、X世代24%、Z世代17%、ベビーブーマー世代7%だった。調査では、雇用者の24%近くが、業績管理(73%)、コスト削減(42%)、組織再編(33%)、従業員の離職(16%)を理由に、静かな人員削減を実践していることが明らかになった。静かな人員削減を奨励している企業は、配置転換した従業員の3人に1人以上を人員削減している。人員削減されるのが最も多いのは新入社員(53%)で、中堅社員(40%)、管理職(5%)、上級社員(2%)と続く。静かな人員削減の実施が多い業種はIT(38%)、小売(37%)、教育(30%)、医療・福祉(25%)、エンジニアリング・製造(24%)の順となっている。
調査から得られたその他の重要なポイントは以下の通り。
・従業員の56%は遠回しではない人員削減を希望
・従業員の3人に1人は静かな人員削減を経験し、半数近くが静かに人員削減された同僚を知っている。従業員の半数がこうした手法に裏切りを感じている
・配置転換された従業員の62%が配置転換を嫌っている
・静かに人員削減された従業員の約40%が最終的に退職。28%が退職を計画している
・静かに人員削減された従業員の30%近くが会社に対して否定的な印象を持っている
Zetwerkのクリエイティブ・ストラテジストであるマデリン・ウィアマンによると、調査で最も興味深かったのは、ビジネス界で静かな人員削減が蔓延していることだという。調査に参加した経営者の4人に1人近くが静かな人員削減を行っていることを認めた。