同団体は政府機関との強力なパイプ役となり、年間約4億ドル(約600億円)の予算を国家の安全保障や公衆衛生、技術研究などに注いでいる。シュミットの出席は国連の広報資料にも記載されており、アルバニアのフェリット・ホクシャ国連大使は、事前に記者団にマスターカードのCEOとともにシュミットが出席することを伝えていた。
しかし、この件に詳しい2人の関係者によると、シュミットは直前になって出席を取りやめ、代わりにゴールドマン・サックスの幹部が出席した。多くの参加者が知らなかったのは、シュミット・フューチャーズが、このプログラムへの支援をこのプロジェクトの立ち上げの前に打ち切る予定だったということだ。
関係者7人の証言に加えフォーブスが入手した内部資料によると、シュミット・フューチャーズは、他にもホワイトハウスやオックスフォード大学のローズ奨学制度などの著名な機関とのパートナーシップの打ち切りや見直しを決定したという。
同団体で働く従業員の1人は「政府の高官らが関与したプロジェクトを閉鎖しなければならないのは、恥ずべきことです」と語った。
シュミット夫妻に代わって声明を発表した広報担当のマシュー・ヒルツィックは、5年間に渡り100以上のプログラムを立ち上げた同団体が、事業の見直しを終えようとしていると述べた。
エリック・シュミットと妻のウェンディ・シュミットが2017年に設立したシュミット・フューチャーズに関しては、他にも異変が起こっている。シュミットの資産管理会社ヒルスパイアが実施した内部調査を受けて、同団体のCEOを務めたエリック・ブレイバーマンが8月に同団体を去ったことが判明している。この調査の詳細は明らかではないが、フォーブスが入手したEメールによると、エリックとウェンディは8月に、ブレイバーマンがシュミット・フューチャーズを去ったことを従業員に通知した。
さらに、情報筋によると、彼の辞職に続いて約6人の従業員が退職したという。シュミット夫妻はブレイバーマンの退社についてコメントを避けた。ブレイバーマンもコメントを拒否した。