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2023.11.14 08:00

グーグル元CEOの慈善団体に囁かれる米政府との「疑惑の関係」

バイデン大統領が称賛した計画も中止に

その結果、シュミット・フューチャーズにおけるブレイバーマンの遺産とも呼べる2つプロジェクトの先行きが危惧されている。その1つのQuad Fellowship(クワッド・フェローシップ)は、ホワイトハウスとのパートナーシップにより、複数の国の学生に奨学金を提供するもので、バイデン大統領はかつて「未来を築く次世代の科学者と技術者」を支援するプロジェクトだと呼んで賞賛していた。

また、ローズ奨学金で知られるローズ・トラストとの提携で始動した、10代の若者を対象とした世界的な人材育成プログラムである「Rise(ライズ)」も頓挫した模様だ。このプロジェクトは、若者たちに奨学金とメンターシップを与え「生涯にわたって他者に貢献するために協力する機会」を提供することを約束していたが、複数の関係者によると、現在は中止されている。

ローズ・トラストはコメント要請に応じず、ホワイトハウスはこの件に関するコメントを拒否した。

「プログラムが終了することは少し前からわかっていました」と、ある社員はフォーブスに語り「会社はエリックとウェンディの気まぐれに振り回されている印象でした」と付け加えた。

フォーブスの推定で200億ドルの資産を持つシュミットと妻のウェンディは、2006年以降、資産管理会社のヒルスパイアを通じて財産を管理している。シュミット・フューチャーズは、夫妻が立ち上げたエリック&ウェンディ・シュミット基金などの非営利団体から資金を調達している。同基金は、税務申告書類によると2021年に夫妻から3億5850万ドルを受け取っていた。夫妻は、これまで20億ドル以上を自らが立ち上げた慈善基金に寄付しており、その中にはまだ外部に寄付を行っていないファンドが含まれている。

夫妻がシュミット・フューチャーズを立ち上げたのは、エリック・シュミットが2011年まで10年間グーグルのCEOを務めた後、2018年にアルファベットの会長から退く準備をしていたときのことだった。夫妻は、当時のヒルスパイアの社長で、クリントン財団を率いた経験を持つブレイバーマンをこの団体のCEOに起用して運営を任せた。

ホワイトハウスとの「疑惑の関係」

ブレイバーマンのリーダーシップの下で同団体は、野心的なテクノロジーや社会プロジェクトを探し、資金を提供していった。その中には最近、その傘下からスピンアウトしたプライバシーとセキュリティ関連に特化した投資会社のex/anteが含まれている。

同団体はまた、世界中の才能ある若者を支援するライズのようなイニシアチブを通じて、ホワイトハウスとの緊密な関係を築いたが、このつながりも批判を浴びている。
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編集=上田裕資

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