その中の1つの、キャサリン・マーガレット・コネリーと称する女性のアカウントは、10月7日のハマスによる襲撃が発生して以来、2000人以上のフェイスブックのフレンドに情報を発信していた。ジョージタウン大学やフォーダム大学といった名門大学を経て、ペンシルベニア大学に勤務中とされる彼女が流す反イスラエル的なメッセージは、大きな影響力を持っていた。
しかし、このキャサリンという女性は実在しない。フォーブスは、彼女がこれらの大学に通ったことも、卒業したこともないことを関係者に確認した。そして、彼女のプロフィール写真に写っているグリーンの目をした女性は、実際にはダブリンの若手女優であることもわかっている。
イスラエル・ガザ戦争が1カ月を超えるなか、米国の大学キャンパスは、ヘイトスピーチや表現の自由をめぐる抗議活動や議論のグラウンドゼロとなった。そして、主要なSNSプラットフォームは、大学コミュニティの一員ですらない扇動者らが紛れ込み、恐怖をあおり、分裂の種をまくための場所になりつつある。
フォーブスが入手したEメールの中で、ペンシルベニア大学の幹部は、この偽アカウントについて大学側が「何者かが不和の種をまくためにAIで作成した偽アカウント」だと考えていると述べていた。同大学の学長は、メールの送信者が学内のユダヤ人コミュニティに対する脅迫メールを複数の職員に送信したことから、FBIと地元警察が学内でのヘイトクライムの可能性を調査していると述べた。
そして先日は、コーネル大学のユダヤ人学生を標的にした匿名の脅迫に関するFBIの捜査の結果、21歳の学生が他人を殺傷する脅迫文を投稿した罪で起訴された。
コーネル大学の事件の話題は、大学生に特化した匿名で参加可能な掲示板サイトGreekrank(グリークランク)や、その競合のSidechat(サイドチャット)などで拡散された。その結果、匿名で発信されるZ世代の声がさまざまな視点から不和と対立を煽る議論に火をつけている。