「対立を煽る勢力」の存在
世界的な大事件の最中に、SNS上の世論操作や対立を煽るメッセージを目にすることは多い。フェイスブックやインスタグラムの親会社であるメタは、これらの投稿の発信源となるアカウントやネットワークの排除に乗り出している。しかし、イスラエルとハマスの戦いの終わりが見えない中で一部の専門家は、米国の大学が、不和を煽り混乱を引き起こそうとする勢力の格好のターゲットになっていることを危惧している。
ニューヨーク大学スターンビジネススクールの人権擁護センターの副所長を務めるポール・バレットは、学生らの意見が「中東の争いの責任が誰にあるのかをめぐって大きくわかれている」と指摘する。彼はまた、偽のあるいは匿名のSNSアカウントが対立を煽り「両陣営をさらに激昂させようとしている」と述べている。
ペンシルバニア大学職員を装ったキャサリンのアカウントは、新たに作られたものではなかった。ガザでの戦争が始まる以前に、このアカウントはウクライナの戦争でロシアを支持して対立を煽り、ウクライナを攻撃し、ウクライナ人はナチスだと主張していた。その他にも、中国を擁護したりワクチンに疑問を投げかけたりする投稿もあった。
しかし、キャサリンはガザでの戦いが始まると、イスラエルを攻撃することに焦点を移した。彼女は、イスラエルの「民族浄化」を非難し、紛争に関する誤った情報を広めた。その中には、ハマスが少なくとも260人を殺害した音楽フェスティバルに関する虚偽の主張が含まれていた。「コンサートでは誰も殺されていない。ハマスは人々を丁寧に扱ったと目撃者は証言した」とキャサリンは10月14日に写真を添えて投稿していた。
フォーブスからの問い合わせを受けた直後に、メタは彼女のアカウントを削除した。キャサリンのアカウントの背後に誰がいるのかは不明だ。
大学を発信源とする暴力的過激主義
イスラエルとガザで起きていることについて、全米の大学生たちが声を上げている。ハーバード大学では、紛争が始まって間もなく学生団体が「すべての暴力の責任はイスラエル政府にある」との声明を出し、同校出身の著名な投資家や起業家たちがこれに反発し、この声明に同調した学生らを雇わないと宣言した。一方、ユダヤ人学生が暴行を受け、大規模な反イスラエル・デモが行われているペンシルバニア大学では、同大学の大口の寄付者である投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのCEOらが、寄付を停止することを表明した。同様の対立は、スタンフォード大学やカリフォルニア大学、ニューヨーク大学などでも生じている。