格安アプリ「Temu」で躍進のeコマース王が中国3位の富豪に

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中国の個人消費が低調な中、格安eコマースアプリの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」とその海外版の「Temu」を運営するPDDホールディングスは事業の拡大を続け、43歳の創業者のコリン・ファン(黄峥)の資産を倍増させた。フォーブスが11月8日に発表した中国の富豪ランキングで、ファンの資産は昨年のほぼ2倍の362億ドル(約5兆5000億円)に達し、3位に躍進した。
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ナスダックに上場するPDDの株価は、格安のアイテムを中国の地方都市の消費者にアピールする同社の戦略が功を奏したことで、急上昇した。PDDの6月までの第2四半期の業績は予想を上回り、売上高は前年同期比66%増の72億ドル、純利益は47%増の18億ドルを記録した。

ファンは2年前に、PDDの会長職を退いたが、現在もかつてピンドゥオドゥオと呼ばれていた同社の主要株主となっている(同社は上海で創業したが、現在はダブリンを本社としている)。

9月に米国の空売り投資家のグリズリー・リサーチは、PDDが金融詐欺を働き、Temuのアプリにスパイウェアを隠していると非難したことで、PDDの株価は一時的に下落した。PDDはこの疑惑について公式に言及しておらず、コメント要請にも応じていない。

昨年ローンチされたTemuは、主に中国から仕入れた低価格の商品を取り揃え、瞬く間に米国でも人気のeコマースアプリになった。このアプリは今年、フランス、ドイツ、イタリアに進出した。深圳を拠点とするブルー・ロータス・キャピタルは、Temuの販売総額が今年125億ドルに達すると予測している。

ウィスコンシン大学でコンピュータサイエンスを専攻したファンは、北京とシアトルのマイクロソフトでインターンとして勤務した後の2004年にグーグルに入社した。彼は、アリババのライバルとして2015年にPDDを設立する前に、オンラインゲーム会社と別のeコマースサイトを設立していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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