ドイツ、デンマーク、オランダのコンソーシアムが、ロシアと戦うウクライナにドイツ製レオパルト1A5戦車100両を供与すると発表してから9カ月が経つ。この間、コンソーシアムとして、またデンマークだけで計95両のレオパルト1が追加された。
ドイツは11月1日に新たな支援を発表し、そこには追加のレオパルト1A5が20両含まれている。第1弾の20両ほどのレオパルト1A5はすでにウクライナに到着し、新設の第44機械化旅団内の中隊に配備されているようだ。
ウクライナは1980年代に生産された軽量のレオパルト1A5を195両以上受け取ることになっている。これはウクライナ軍が運用する西側式の戦車としては群を抜いて多いものとなりそうだ。ウクライナ軍が保有する戦車でレオパルト1A5より多いのは、ウクライナ国産のT-64と、ウクライナが1991年に 旧ソ連から引き継いだか、欧州の同盟国から最近入手した各種のT-72だけだ。
これらのレオパルト1A5の供与は、危険ではあるがチャンスだ。ウクライナ軍が待望の反攻を開始してから5カ月が経つ。同盟国は最高の戦車であるレオパルト2を85両供与すると約束し、ウクライナは受け取った71両を戦線に投入。そして少なくとも13両を失っている。
こうした損失を補うものが必要だ。北大西洋条約機構(NATO)に加盟しているどの同盟国も、これ以上レオパルト2を手放そうとはしていない。また、英国にも追加でチャレンジャー2戦車をウクライナに送る気配はない。英国はチャレンジャー2を14両送り、ウクライナはそのうちの1両をすでに失っている。
そして米国はといえば、供与を約束した31両のM1エイブラムス戦車を2倍、3倍、10倍に増やすことは簡単にできるかもしれないが、米議会の共和党議員は、ロシアのプーチン政権をますます擁護しており、ウクライナへの追加の軍事支援を遅らせるか、あるいは阻止する可能性さえある。
ウクライナが自国での戦車生産を再開しない限り、ドイツのレオパルト1、チェコのT-72、ポーランドのさまざまな旧ソ連スタイルの戦車だけが、ウクライナが大量に受け取ることができる戦車だ。戦車の生産には巨額の投資が必要であることを考えると、ウクライナで生産が再開される可能性は低い。