米防衛大手ノースロップ・グラマンが製造するB21は、米軍が30年以上ぶりに新開発した爆撃機。核兵器も搭載可能で、米空軍では今後の爆撃機開発の「基幹」と位置づけている。機体価格は、1機およそ7億5000万ドル(約1140億円)になる見通し。
ロイター通信によると、B21は通常兵器と核兵器の両方を搭載でき、空中給油能力や他機とのネットワーク接続能力を有する。高いステルス性を備えた表面素材は、現行のB2爆撃機に使われているものよりメンテナンスが容易だという。
空軍は100機を調達する予定で、無人機としての運用も視野に入れている。現行のB1、B2爆撃機との入れ替えを進め、ボーイングのB52戦略爆撃機と組み合わせて運用する計画だ。
B21レイダーの開発は大部分が秘密に包まれており、正確な機体価格は公表されていない。ロイターの報道では、1機あたり約7億5000万ドルと予想されている。これが事実なら、F35戦闘機やF22戦闘機ラプターを上回り、これまで実践配備された米軍機の中でも最高額の部類に入る。
ロッキード・マーチンのF35統合打撃戦闘機は、米国史上最も高価な兵器システムだ。米国会計検査院(GAO)の報告に基づけば、機体価格は推定1億5000万~2億ドル(約230億~300億円)で、調達から維持までを含めた運用プログラム全体にかかる費用は1兆7000億ドル(約260兆円)にもなる。
なお、同じくロッキード・マーティンの戦術戦闘機F22ラプターの価格は1機あたり1億2500万ドル(約190億円)、エアバスのユーロファイター・タイフーンは約1億2000万ドル(約180億円)とみられ、ボーイングの攻撃戦闘機F15EXは約8000万ドル(約120億円)と推計されている。
2024年度の空軍の予算請求額は2151億ドル(約33兆円)で、今年度比4.5%、価格にして93億ドル(約1兆4000億円)増加した。
空軍は2015年、B21の技術・製造開発契約先にノースロップ・グラマンを選定。同社はボーイングやロッキード・マーチンなど競合他社を抑えて受注を獲得した。2019年にサウスダコタ州、ミズーリ州、テキサス州の空軍基地がB21運用の優先拠点に選ばれ、2022年12月に機体が公開された。
レイダーの名称は、第2次世界大戦中の1942年に米軍が日本本土を初めて空襲した爆撃機部隊「ドーリットル・レイダーズ」にちなむ。米空軍はこの作戦について「日本は本土防衛のため戦闘部隊を呼び戻さざるを得なくなり、米国民と米同盟国の士気は高まった」と評価している。21という数字は、21世紀最初の新型爆撃機であることを意味している。
(forbes.com 原文)