ところが、2.0Lのハイブリッドといっても、143psしか出ないというのは、パワー不足だと思う。いくら燃費を稼ぎたいと思っても、車重1660kgのSUVにして、145psとCVTの組み合わせは決して十分にパワフルとは言い難い。
また、4輪駆動システムとCVTオートマチックが、パワーをホイールに伝えるのだが、急加速した時のCVTのラバーバンドフィールは少し気になる。実は1.8リッター・ターボと、ハイブリッドの燃費はそれほど違いがないようだ。e-BOXERのモーターは燃費向上よりもパワーサプライと割り切った方がいい側面があるのも確かだ。
フォレスターは間違いなく走りがいい。走行性能、乗り心地、360度の視認性、ドライバーに伝える自信ではセグメントのトップに立つだろう。オンロードでもオフロードでも抜群の安定性と安全性のあるSUVと言える。それこそがフォレスターの人気の秘密であることは間違いないだろう。
ということで、フォレスターe-BOXERを総括するのは難しい。同車は、安全システムとインテリア技術のアップデートによって強化された、非常に愛すべき実用的なSUVだと思う。旧型のがっしりした信頼できる雰囲気はそのままに、内装の質感とアイサイトがかなり充実し、より実用的で安全になっている。また、オンロードでの乗り心地を損なうことなく、オフロード性能もトップクラスだ。
しかし、e-Boxerパワートレインとその無意味な1.5kmのEVモード航続距離は理解できない。その上、少し力不足のエンジンと抜けたようなCVTはぜひ考え直し欲しいと思う。やはり、より大きくてより力強いモーターをつけるべきではないかな。僕なら、e-Boxerの燃費とはあまり変わらない、走って楽しい1.8Lターボの「SPORT」仕様を選択すると思う。
(スバル フォレスター e-Boxer Advanceの主な諸元)
全長:4640mm/全幅:1815mm/全高:1715mm
駆動方式:AWD
最高出力:107kW(145PS)/6000rpm
最大トルク(ネット):188N・m(19.2kgf-m)/4000rpm
燃料タンク容量:52L
モーター:最高出力10kW(13.6PS)、最大トルク65N・m(6.6kgf-m)
エンジン:2.0L DOHC 直噴+モーター(e-BOXER)
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