企業にとって、どれだけ多くのファンを獲得できるかが、ますます重要な時代になっている。自社の商品やサービスを愛してくれるファンがどれだけいるかが、そのプロジェクトや企業の成功を左右することは明白だ。「あなたの会社のファンはどんな人たちか」と聞かれて、すぐに具体的な顔が思いつくだろうか。まったく浮かばず、この質問にドキッとした人もいるかもしれない。ともするとデジタル上のやりとりだけで事業が完結できるこの時代において、B to BもB to Cも関係なく、自分たちのファンの顔がすぐに思い浮かぶかどうかは、非常に重要なことだ。ファンが何に喜び、何にガッカリするのか。それがわからなければ、サービスを磨くことなどできはしない。
そんなファン顧客との関係づくりについて、先日聞いたクリスプ・サラダワークスの話はとても参考になった。同社は「熱狂的なファンをつくる」をミッションに掲げ、飲食にテクノロジーの力を取り入れて、人と人とのリアルなつながりが感じられるレストラン体験をつくろうとしている。ちなみに私は月に10回は利用する「ファン」なのだが、注文は事前にアプリで行うため、顧客の属性や来店回数などのデータが収集されている。外食のDXならテクノロジーに振り切りアプリで完結させても良いはずだ。が、実際の接客を通じ、自分たちのファンの姿や、どんな雰囲気で何を買うかをイメージできることのほうが、事業においてより大きな価値だという。
ファンの顔を具体的に思い浮かべたうえでサービスを磨くことができれば、それはデータのみの判断よりもきっと素敵なものになるはずだ。従業員もそういったファンとのやり取りによって、自分たちの店やサービスが「愛されている」という実感が得られ、働くモチベーションもアップすることだろう。