ファンづくりに大切な汗のかき方
昨年からMakuakeはミライマルシェという展示販売イベントを開催している。今年も9月23・24日に行われ約3500人が来場した。このイベントを私はとても大切に考えているのだが、それはまさに、こうした考えからだ。Makuakeのサービス上では、この瞬間も新しい商品やサービスとマッチングした利用者が、高揚感をもちながら購入してくれている。その新商品や新サービスが生まれたストーリーや背景も紹介されているため、利用者は購入することで提供側の取り組みや想いを応援するかたちとなる。つまり、従来の買い物とは少し違う強い感情を伴った新しい販売スタイルと買い物スタイルがデジタル上で行われているわけだが、バーチャルなマーケットプレイスなので、普段売り手は実映像としてその売買の瞬間を見ることはかなわない。
買い物を楽しんでくれているファンが何万人もいること、またその属性などはデータを見ればわかるのだが、あくまでその情報はデータである。しかし、実際に出店販売を行うミライマルシェでは、ファンの人がどんな人でどういった雰囲気で買い物を楽しんでくれているのかを見ることができるのだ。出店する実行者はその商品の特徴を熱く語り、それを来場したMakuakeのファンたちが楽しそうに聞き、気に入ったらその場で購入してくれる。この光景は実は日々オンライン上で起きていることなのだが、データと合わせてこういった実際のファンの反応を目にすることで解像度が格段に上がる。つまり今後のサービスの磨き上げに生かせるとても重要な場になっているのだ。
データドリブンなこの時代、データ分析は絶対的に必要であり大きな競争力となる。そこへさらに、データを映像として具現化するリアルの場をつくることこそが、ファンづくりにおいてもとても大切な汗のかき方なのかもしれない。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。