画面を持たない小さなガジェットであるAI Pinは、その名のとおりピンで衣服にとめて使用する。このデバイスは、カメラとセンサーで装着者の周囲の環境をスキャンし、さまざまな質問に回答する。AI Pinは、主に音声で操作するものだが、小さなプロジェクターが搭載されており、ユーザーの手のひらにアイコンやテキストを照射できる。
ヒューメインは、AI Pinを食品にかざすと栄養価を知ることができるコンピュータビジョン機能や、音声で操作可能な翻訳機能をアピールしている。
AI Pinは、マイクロソフトとOpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)を搭載しており、クアルコムのSnapdragonプロセッサーや超広角カメラを搭載し、Bluetooth接続が可能だ。このデバイスは、米国で定価699ドル(約10万6000円)で11月16日に発売され、Tモバイルのネットワークを用いた場合のデータ通信とストレージ利用料が月額24ドルとされている。
ヒューメインは、元アップル幹部のイムラン・チャウドリとベサニー・ボンジョルノの夫婦が2019年に共同創業した企業だ。彼らは、これまでMacやiPod、iPad、iPhone、Apple Watch、iOSの開発に携わってきた。
チャウドリは、アップル時代に、初代iPhoneのスワイプによるロック解除機能の発明に貢献したとされる。ボンジョルノは、初代iPadの立ち上げに貢献したソフトウェアエンジニアだという。2人は、スマートフォンのタッチコンピューティングの時代を切り開いた経験から、よりミニマルなデバイスを作ることを思いついたと語っている。
「AI Pinは、AIを日常生活に統合し、人々の能力を向上させるというビジョンを具現化したものです」と彼らは9日の声明で述べた。