中国長者番付、首位は3年連続で「ミネラルウォーターの富豪」

農夫山泉創業者のチョン・シャンシャン(C)農夫山泉

フォーブスは11月8日、毎年恒例となっている中国の富豪100人のランキングを発表した。中国経済はパンデミック後の回復途上にあるが、米中の緊張が高まる中、製造業の縮小と輸出の鈍化に加え、不動産価格の長期的な低迷により、100人の富豪の総資産は昨年の9071億ドルから8950億ドル(約135兆円)に減少している。

ミネラルウォーター最大手の「農夫山泉」の創業者である鍾睒睒は、保有資産を623億ドルから601億ドルに減らしたが、3年連続で1位をキープした。バイトダンス創業者のチャン・イーミンは2位をキープしたが、彼の資産も495億ドルから434億ドルに減少している。これは、同社が運営するTikTokが国際市場で規制の壁に直面し続けているためだ。

格安Eコマースサイト「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」を運営するPDDホールディングスの創業者のコリン・ファンは、今年最も資産を増やした富豪となり、前年の9位から初めて3位に浮上した。拼多多とその海外版の「Temu」は世界中の消費者に支持され、ファンは資産を昨年の約2倍の362億ドルに増加させた。

ゲーム会社ネットイース(網易)の創業者のウィリアム・ディンも、前年比71%増の320億ドルに資産を増加させた。

一方、昨年3位だった世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーであるCATLのロビン・ゼン会長は、国内の市場シェアを競合他社に奪われたと報じられ、258億ドルで6位に後退した。

今年は42人の富豪が2022年よりもリッチになったが、株価の急落に見舞われた太陽光発電関連の経営者ら40人は資産を減少させた。その1社であるJAソーラー会長ジン・バオファンの資産は50億ドルに半減したが、幸運にもランキングに残った。

もう1人の大きな敗者は、不動産デベロッパー「カントリー・ガーデン(碧佳園)」の楊恵燕会長だ。かつてアジアで最も裕福な女性であった彼女は、10月中旬に同社が初のドル建て債券の利払い債務不履行に陥ったため、24位ランキングを下げて93位に沈んだ。不動産市場の低迷が長期化するなか、彼女が家族と共有する資産は2年間で約90%減少し、36億ドルに激減した。現在42歳の楊は3月に父親からカントリーガーデンの経営を引き継いだ。
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編集=上田裕資

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