政治

2023.11.10 16:00

米大統領選の劣勢を否定するバイデン、「メデイアの偏向」を非難

バイデン大統領(Shutterstock.com)

ニューヨーク・タイムズ(NYT)とシエナ大学は今週、2024年の米大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領の支持率が、6つの激戦州のうちの5つの州でトランプ前大統領を下回っていることを示す世論調査結果を公表した。

しかし、バイデン大統領はこの結果を認めず、最近の世論調査の80%が、彼がトランプに勝っているか互角であることを示したという、根拠を欠く主張を述べた。

バイデン大統領は11月9日、Foxニュースのピーター・ドゥーシー記者から「激戦州のうちの5つでトランプに負けたのはなぜだと思うか?」と問われ「あなたは世論調査を読んでいない」と答えた。

大統領は、メディアが2つのネガティブな世論調査に傾いていると非難し、ここ最近の10件の世論調査のうちの8件は、彼が激戦州でトランプに勝利しつつあることを示したと主張した。バイデン大統領の支持率は、CNNが7日に公表した世論調査においても、トランプを4ポイント下回っていた。

バイデン大統領がどの世論調査について述べているのかは不明だ。CNNの調査に加え、YouGovやCBS、キニピアック大学などの主要な世論調査10件を集計した政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」のデータは、バイデン大統領の主張とは正反対の結果を示しており、大統領の支持率は10件中8件で、トランプを下回るか互角の結果だった。

別の記者がバイデン大統領に「激戦州で自分が負けていることを認めるか?」と尋ねたところ、大統領は「認めない」と答えた。

NYTの世論調査結果に対するバイデン大統領の反応は、彼の選挙キャンペーンのスタッフの見方と一致している。バイデン陣営の広報担当のマイケル・タイラーは、7日に報道各社に宛てたメモの中で、2012年の大統領選の1年前に行われたギャラップの世論調査を引き合いに出し、その当時のバラク・オバマの支持率が、ミット・ロムニーを8ポイント下回っていたことを挙げた。

「過去3週間の8つの世論調査で、バイデン大統領の支持率はトランプを上回っていた、もしくは互角だった」とタイラーは述べた。

リアル・クリア・ポリティクスがまとめた最新の世論調査平均では、トランプの支持率は1ポイントの僅差でバイデン大統領を上回っている。

有権者は大統領の年齢と政策に失望

NYTとシエナ大学の世論調査は、10月22日から11月3日にかけて6つの激戦州で行われたもので、バイデン大統領が勝利するとされたのは、そのうちの1州のウィスコンシン州のみだった。この調査では、バイデン政権の経済政策に対する否定的な感情と大統領の80歳という年齢が、支持率低下の主要因となっていることが示された。この調査からは、有権者が民主党の政策そのものよりもバイデン大統領に失望していることが読み取れる。

7日の地方選挙で民主党が勝利したことは、民主党に一定の安堵を与えた。ケンタッキー州の民主党のアンディ・ベシア知事は、トランプの支持を受けた共和党のダニエル・キャメロン州司法長官を破り、共和党が優勢の州で勝利した。

民主党は、バージニア州議会の上下両院の改選においても過半数を制する結果を収めた。さらに、ケンタッキー州知事選においても、中絶の権利を支持する民主党の現職のビシア知事が勝利した。

しかし、これらの選挙結果にはいくつかの注意点がある。大統領選挙がない年の選挙結果は、民主党支持者の高い投票率によって左右される傾向がある。一方、トランプの支持層は、トランプが立候補した選挙のみに集中する傾向がある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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