リクシルは近畿大学と共同で「住宅内温熱環境と居住者の健康に関する研究」の論文を発表した。それによると、50歳の夫婦、18歳と15歳の子どもの4人家族が住まう東京都内の築55年の家を想定して、居室の9枚の窓を2重窓に改装した場合の経済効果を算定したところ、改修によって20年で64万円、30年で98万円、冷暖房費と医療費が削減できるという。
この研究は、冷暖房費だけでなく、健康面での効果に着目している点が大きい。住宅の室内温度が要因となる疾患(心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎)について、約2万4000人を対象に断熱効果の高い家への転居前後の健康変化を調べたところ、医療費の削減も期待できることがわかった。
風呂場が寒いことで起きるヒートショックで死亡する事故の件数は、交通事故死の約4倍とされている。また窓の結露はアレルギーの原因となるダニの発生を招くなど、家の断熱性能が低いとさまざまな疾患のリスクが高まるというのだ。
計算のモデルになった築55年の家を改装しても、あと30年ももつのか? 改装は98万円で収まるのか? 子どもたちは30年ずっと同居なのか? などと突っ込みたくなる気持ちはわかるが、あくまでもシミュレーションとして参考にしよう。ただ電気代や燃料代が高くなっていくのは避けられないし、病気になっては大変だ。窓の断熱に大きな効果があるとわかったからには、なんかしら対策を考えるべきだろう。
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