宇宙

2023.11.09 14:00

観測史上「最遠」のブラックホール、宇宙の虫眼鏡で発見 NASA

X線で検出された、観測史上最も遠方にあるブラックホールを捉えた合成画像。NASAチャンドラ衛星のX線画像(紫色)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の赤外線画像を合成して作成(X-ray: NASA/CXC/SAO/Ákos Bogdán; Infrared: NASA/ESA/CSA/STScI; Image Processing: NASA/CXC/SAO/L. Frattare & K. Arcand)

X線で検出された、観測史上最も遠方にあるブラックホールを捉えた合成画像。NASAチャンドラ衛星のX線画像(紫色)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の赤外線画像を合成して作成(X-ray: NASA/CXC/SAO/Ákos Bogdán; Infrared: NASA/ESA/CSA/STScI; Image Processing: NASA/CXC/SAO/L. Frattare & K. Arcand)

太陽系から最も遠方にあるブラックホールの1つを、天文学者チームが米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡2基を用いて発見した。銀河が視線上に並ぶことで虫眼鏡のように作用する、稀な現象を利用することで得られた観測成果だ。
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ビッグバン(138億年前に宇宙を誕生させたと考えられている現象)からわずか4億7000万年後には存在していたこの天体は、これまでにX線で検出された最も遠くにあるブラックホールだ。

発見に用いられた宇宙望遠鏡は、赤外線で宇宙を観測するジェイムズ・ウェッブ望遠鏡(JWST)と、X線で見るチャンドラ観測衛星。どちらの波長の電磁波も、人間の目には見えない。

著しく遠い

科学誌Nature Astronomyに11月6日付で掲載された、今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のアーコシュ・ボグダンは「この著しく遠い銀河を見つけるためにウェッブが、その銀河にある超大質量ブラックホールを見つけるためにチャンドラが、それぞれ必要だった」と説明する。「さらには、地球で検出される光の量を増やす宇宙の拡大鏡も利用した」

銀河「UHZ1」の中で発見されたこのブラックホールは、これまでに見つかっているどのブラックホールよりも発達の早い段階にある。UHZ1は、太陽系から約35億光年の距離にある銀河団Abell 2744、別名「パンドラ銀河団」の中にある。Abell 2744は3つの銀河団からなる巨大な銀河団で、5万個という驚くべき数の天体が存在する。
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だが、ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡の観測で、UHZ1がこの銀河団の背後の、太陽系から132億光年という途方もなく遠方にあることが明らかになった。これは、現在の宇宙年齢のわずか3%しか経っていない時期に相当する。

X線で検出された、観測史上最も遠方にあるブラックホールを捉えた合成画像。画像全体に広がる銀河団Abell 2744の背後に位置する母銀河UHZ1内にある(X-ray: NASA/CXC/SAO/Ákos Bogdán; Infrared: NASA/ESA/CSA/STScI; Image Processing: NASA/CXC/SAO/L. Frattare & K. Arcand)

X線で検出された、観測史上最も遠方にあるブラックホールを捉えた合成画像。画像全体に広がる銀河団Abell 2744の背後に位置する母銀河UHZ1内にある(X-ray: NASA/CXC/SAO/Ákos Bogdán; Infrared: NASA/ESA/CSA/STScI; Image Processing: NASA/CXC/SAO/L. Frattare & K. Arcand)

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翻訳=河原稔

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