ビジネス

2023.11.10 09:00

ダイヤモンドが供給過剰、価格急落でかき入れ時前の業界に暗雲

米WD Lab Grown Diamondsが先月、主要な合成ダイヤ企業としては初めて破産法の適用を申請したことが合成ダイヤ業界の競争激化を物語っている。インドや中国のメーカーの加工費の大幅上昇により業績が悪化したという。

デビアスも子会社ライトボックスを通じて合成ダイヤ事業を展開しているが、価格低迷を理由に9月には主要部門である婚約指輪からの撤退を余儀なくされた。

アングロ・アメリカンと並んでダイヤ採掘大手のロシアのアルロサはここ2カ月間、販売を停止している。同社は、欧米の宝飾会社による取り扱い禁止に直面する可能性もある。

ティファニーやヴァン クリーフ&アーペルといった有名宝飾企業は、ロシア産ダイヤの仕入れを停止している。

ダイヤ業界誌を発行するラパポートは先月、RapNetダイヤ指数をもとに、3カラットのダイヤの価格は前年比15.3%減、1カラットは同25.9%減、0.5カラットは同31.6%減だったと発表した。

価格の下落と販売不振は、かつてダイヤ採掘の中心地だった南アフリカで、銅や鉄鉱石、プラチナ、石炭などの工業原料で利益の大半を稼ぐアングロ・アメリカンの傘下企業としてデビアスはふさわしいのかという議論を巻き起こしている。

デジタル媒体を手がけるデイビッド・マッケイは先週、自身のウェブサイトMiningmxに掲載した記事で、ダイヤがアングロ・アメリカンの「プロファイルに合っているか」と問いかけ、議論を引き起こした。これにアングロ・アメリカンはすぐさま反応し、同社の広報担当者は「新鮮味のない話」とマッケイの指摘を一蹴した。

デビアスの業績悪化を正確に測ることは、鉱業大手の傘下にあるため容易ではない。だが、ダイヤ供給過剰のダメージは、ダイヤのみを採掘している企業の株価の動向で測定することができる。

ロンドン証券取引所に上場しているダイヤ採掘のジェム・ダイヤモンズとペトラ・ダイヤモンズの株価は、年初からジェムが64%、ペトラが51%下落。同じくダイヤ採掘会社でオーストラリア証券取引所に上場しているルカパ・ダイヤモンドは36%、バーガンディ・ダイヤモンド・マインズは27%下落している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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