攻撃しやすいが、必ずしも容易ではない。ロシアの発表が信頼できるならば(そうではなさそうな明白な理由がある)、ウクライナ軍は11月4日にケルチに向けてミサイル15発を発射したが、防空システムにより13発が撃ち落とされたという。
ウクライナ軍がまたクリミアとその周辺のロシア軍の防空、特にS-400長距離地対空ミサイルシステムを狙っているのには理由がある。防空網に穴を開けることは通常、巡航ミサイルによる攻撃を成功させるための前提条件だ。
4日のケルチ上空には、ミサイルが飛来する黙示録的な光景が見られた。「目撃者の映像には、上空でロシアの防空システムに狙われたウクライナ軍のミサイルと、地平線上に立ち上る煙が映っている」「ミサイルの飛翔音と複数の爆発音も聞こえる」と、独立調査機関コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は著している。
ある映像には、ミサイルがアスコルドやその周辺を攻撃している様子が映っている。ウクライナ軍の戦略広報局が公開した写真は、排水量800トンのコルベットが受けた損傷をとらえたとされるものだ。米シンクタンク、海軍分析センター(CNA)に所属するあるアナリストは「最低でも、上部構造を含む左舷側に深刻なダメージがある」との見解を示した。
ウクライナは黒海西部を支配し、ロシア海軍の艦隊がウクライナの港から穀物を運ぶ貨物船を妨害するのを防ごうとしている。今回のアスコルドへの攻撃は、こうした取り組みに大きく寄与する。
また、ウクライナの一般市民にとっても安心材料となる。黒海艦隊の中でアスコルドは陸上攻撃艦のひとつだ。すでに試運転を終えて就役していたと仮定すると、ウクライナの都市に向けてカリブル巡航ミサイルを発射していた可能性が高い。
ウクライナ軍が、カリブルを発射する艦船を海上や港で損傷させたり破壊したりすることで、陸上の人々の命が救われる。
(forbes.com 原文)