ヘルスケア

2023.11.10 14:00

ワクチン接種がアルツハイマー病の発症抑制に効果? インフル、帯状疱疹ワクチンでも

Getty Images

どのようなメカニズムが働いているのだろう? アルツハイマー病は感染症で、ワクチンによって感染が阻止されるのだろうか? 端的に言えば、答えはノーだ。おそらくそうではないだろう。アルツハイマー病の病因はいまだ明らかになっていないものの、感染の直接的結果であるというはっきりした証拠は存在しない。
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加えて、少なくとも4種のワクチンにアルツハイマー病の発症リスクを下げる同様の効果が認められたことから、こうした効果は、インフルエンザワクチンや三種混合ワクチン、その他の特定のワクチンおよびその成分に由来するものではないと考えられる。

今回の研究をおこなったテキサス大学のチームは、ワクチンによる「自然免疫細胞の長期的再プログラミング」すなわち「訓練免疫」によって、アルツハイマー病を予防する効果がもたらされるのではないかと推測している。

この仮説は、本記事で解説するにはあまりに複雑で、筆者の理解がまったく及ばない免疫学が関係している。サイエンスライターであるエド・ヨンの言葉を借りれば、免疫学は「どうしようもなく複雑」なのだ。そのためここでは、さらなる研究が必要な興味深いアイデアだ、とだけ言っておこう。
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また、(ワクチン接種をしなくても)感染症とそこからの回復にも同様の効果があるのではないかと思う人のために補足すると、こちらはどうやら望み薄だ。この疑問に焦点を当てた別の研究では、インフルエンザの感染回数とアルツハイマー病の発症リスクとのあいだに関連は見られなかった。つまりワクチンは、感染症そのものにはない恩恵をもたらすらしいのだ(このように補足したのは、反ワクチン活動家が喧伝する誤った主張の一つに、病気に感染して回復した方が強固な免疫が得られる、というものがあるからだ。この考えはよろしくない)。

なお、これらの研究は相関関係を示すものであり、因果関係を明らかにしたわけではないことにも留意が必要だ。ワクチンには有意の大きな効果が認められたが、ワクチンが何らかの形で直接的にアルツハイマー病の発症を抑えているという確証はない。ワクチン接種を受けた人は、アルツハイマー病の発症リスクを避けるのに役立つその他の行動をとる傾向があったのかもしれない。ただし、このような可能性を最小限に抑える研究デザインが採用されてはいるが。

各種ワクチンには非常に大きな効果があり、そのことは大規模に立証されている。人々を、感染と、それに伴う苦痛から守り、無数の人命を救ってきた。そこへさらに、「アルツハイマー病の発症リスク低減」という、また別のプラス効果が加わる可能性があるわけだ。ワクチンの追加接種をまだ受けていない人にとっては、受けるべき理由がもう一つ登場したと言えるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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