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2023.11.10 15:30

フィンテックの激戦区、東南アジアを狙うYouTripを率いる女性起業家

セシリア・チュー(C)YouTrip

セシリア・チュー(C)YouTrip

セシリア・チュー(Caecilia Chu)は、急成長する東南アジアのフィンテック業界で先行者になることを目指し、中国からシンガポールに渡った。そして、彼女は2018年にマルチカレンシーウォレット「YouTrip」をリリースした。マッキンゼー出身のチューは、顧客から信頼を得るためには現地に根ざしたサービスを提供することが必要だと考えていた。
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「我々は1つの製品、1つのプラットフォームで世界中のニーズに応えようと考えていない。我々はシンガポールの企業をターゲットにしており、市場ごとに製品とパートナーをローカライズしている」とYouTripのCEOを務めるチューは話す。

東南アジアをターゲットにするYouTripには、投資家の注目が集まっている。同社は10月26日、エピックゲームズやOYO、フォーブスの「アジアの注目すべき企業100社」に選出されたCosmartに出資するライトスピード・ベンチャー・パートナーズからシリーズBラウンドで5000万ドル(約75億円)を調達したと発表した。これにより、同社の累計調達額は1億550万ドルに達した。同社は、このラウンドでの評価額を明らかにしていない。

「YouTripが消費者の信頼獲得とブランドロイヤリティーの構築に成功したことが、出資の決め手となった。同社は、東南アジアの多くの地域にサービスを拡大する能力を示した唯一の消費者向けクロス・ペイメント企業だ」と、ライトスピードのパートナーであるピン・ロージンダクル(Pinn Lawjindakul)は話す。
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ロージンダクルは、YouTripが異例とも言えるほど高いブランド認知度を誇るのは、東南アジア特有の課題を解決するソリューションを提供していることが理由だと考えている。「東南アジアが1つの国だと考えている人が多いが、実際には多くの国と通貨で構成されている。東南アジアでは、通貨と為替レートの話題が日常会話に浸透しており、適切な為替レートを探すことが人々の悩みの種となっている」と彼女はいう。

YouTripは、東南アジアのユーザーに、150以上の通貨に対応したバーチャルと物理的なデビットカードを提供している。同社は、現地の両替業者と提携することで、海外でのカード使用で発生していた「隠れた手数料」を排除した。また、同社のアプリは、シンガポールドルや米ドルを含む10通貨の両替にも対応している。同アプリは、Google Playストアで100万ダウンロードを突破している。

チューによると、YouTripは4月に黒字化を達成したという。2023年3月までの1年間の売上高は、前年同期比393%増の1770万シンガポールドル(約20億円)に拡大し、損失は前年の1000万シンガポールドルから760万シンガポールドルに縮小していた。
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編集=上田裕資

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