【お知らせ】Firefoxでの記事閲覧について

2023.11.07 10:30

EV販売がここにきて「伸び悩む」5つの理由、米国

Getty Images

ここ最近、自動車メーカーが電気自動車(EV)の生産縮小や生産延期を発表したという報道をよく耳にする。これは、EVの消費者需要が落ち込んでいることを受けての動きだ。

例えばフォードは2023年10月末、EV生産に向けて予定していた120億ドル(約1兆8000億円)の投資を延期した。ゼネラルモーターズも10月、2024年上半期までに40万台のEVを生産するという目標を断念した。フォルクスワーゲンは9月、20億ドル(約3000億円)を投じてドイツにEV新工場を建設する計画を打ち切った。こうした報道が続いている。

EV販売は2021年に大幅に増加したが、ここにきて、消費者のEV熱が冷めてしまったのはなぜだろうか。その理由を5つ挙げよう。

EVと純粋な内燃機関車の違いについての理解不足

自動車メーカーはもともと、ガソリンやディーゼルといった燃料を内燃機関で燃焼させる自動車の電気版がEVだとうたっていた。しかし、それが仇となってしまった。EVが内燃機関車の電気版というのは、まったくもって事実ではない。EVと純粋な内燃機関車は、プロペラ機とジェット機のように似て非なるものだ。

EVは、内燃機関車ほど製造が複雑ではないが、より高度な技術が用いられている。また、ガソリン車やディーゼル車ほどメンテナンスを必要としない。消費者は、この2つのパワートレインの微妙な違いをわかっていない。とりわけ、EVは購入価格が高い分、内燃機関車より耐用年数がずっと長く、その間の維持費用も安いという違いを。

EVの航続距離に対する根強い不安

米運輸省の統計によれば、米国の一般的なドライバーの走行距離は1日に37マイル(およそ60km)。いまどきのEVなら難なく走れる距離だ。2010年の平均的なEV航続距離はわずか80マイル(およそ129km)だったが、2021年には220マイル(およそ354km)まで延びている。

現在では、ほぼすべてのEVが、フル充電で約250マイル(およそ402km)走行可能だ。1回の充電でその2倍、つまり500マイル(およそ804km)を超えるEVもある。にもかかわらず、消費者はいまだに、EVについての不安点に航続距離を挙げている。
次ページ > 初期の需要は、すでに飽和状態

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事