宇宙

2023.11.08 08:45

宇宙ステーションでVRが必要となるワケ 宇宙専用VRゴーグルとは

リリースベース(松村)
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プレスリリースより

国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士は、長期間、愛する人と離れ、プライバシーのない閉ざされた環境で仕事に追われる日々を過ごせば、ストレスの蓄積によりメンタルヘルスに問題を生じる恐れがあるという。そこで、宇宙飛行士のためのVRセラピーが開発され、現在のミッションで試されることになった。ただし、重力に依存する通常のVRゴーグルは宇宙では使えない。まずは、微小重力環境で正しく動作する特殊なVRゴーグルの開発が必要だった。

そこで、VRヘッドセット「VIVE」を製造する台湾のHTC、VRゴーグルを使ったヘルスケアプログラム「バーチャル・クリニック」を提供するアメリカのXRHealth(エックスアールヘルス)、仮想現実や航空宇宙分野の技術開発を行うデンマークのNord-Space(ノードスペース)が共同で、宇宙飛行士のためのVRセラピーシステムを開発した。
VIVE公式ホームページより

VIVE公式ホームページより。

以前にも宇宙でのVRゴーグルの使用を試したことがあったが、仮想空間の位置基準として重要な役割を果たす重力がないこと、さらに宇宙船の動きによりトラッキングが失われて映像が安定せず、装着者が宇宙酔いしてしまった。そのままではVRゴーグルは宇宙で使えない。HTCは、ジェットコースターや飛行訓練用のシミュレーターVRモードで、コントローラーをアンカーポイントに利用する特別なトラッキング方式を開発。VIVE Focus3にその機能を加えて無重力版に改良した。
アンドレアス・モーゲンセン宇宙飛行士

アンドレアス・モーゲンセン宇宙飛行士

このシステムは、現在、ISSに搭乗中のデンマーク人宇宙飛行士アンドレアス・モーゲンセンが試すことになっている。ヘッドセットには、海でイルカと泳ぐ、山の尾根に沈む夕日を眺める、穏やかなデンマークの湿地帯を散歩するなど、モーゲンセン氏が選んだ故郷デンマークの360度映像が映し出され、心を癒すということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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