欧州

2023.11.07

ウクライナ、ロシア部隊のブフレダル再進攻をまた撃退

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ロシア軍の海軍歩兵旅団は昨冬、ウクライナ東部ドネツク州にあるウクライナ軍の拠点ブフレダルの制圧に向けて、その南にある集落ムィキルスケからの突破を何度も図り、失敗した。

再び冬を迎えるなか、ロシア側は再度突破を試みた。第155海軍歩兵旅団とみられる大規模な部隊が2日、ブフレダルに対して急襲をかけた。だが、すぐに地雷を踏んで「キルゾーン」で立ち往生した。そこは、ウクライナ軍の第72独立機械化旅団が監視し、砲兵やドローン(無人機)運用者が手ぐすねを引いている場所だった。

結果は今年初めと同様だった。ウクライナ側はロシア軍の車両を多数破壊し、兵士も多数殺害した。

1年10カ月目に入っているこの戦争における車両の損害を追跡しているオープンソース・インテリジェンス(OSINT)アナリスト、アンドルー・パーペチュアの集計で、海軍歩兵隊が今回、第72旅団の防衛によって被った損害の大きさが浮き彫りになっている。

パーペチュアが数えたところでは、ロシア側の車両の損害(損傷、撃破、もしくは放棄)は1日で60両近くにのぼった。一方、ウクライナ側の損害は17両にとどまっている。ロシア軍はウクライナでこれより大きな損害を出した日もあるものの、そうした日は数えるほどしかない。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の大失敗を簡潔にこう説明している。「ブフレダル方面で敵による前進の試みがあったが、われわれの兵士が阻止し、敵に車両数十両、死傷者多数という多大な損害を与えた」

繰り返し撃退されてきたウクライナ軍の拠点に対して、ロシア側がなぜまた攻撃を仕掛けたのか、また、なぜ今そうしようとしたのかはよくわからない。

ロシア軍はたしかに、古い車両を引っ張り出したり新兵を動員したりして、これまでに出した数千両の装甲車や数万人の経験豊かな兵士の損失をどうにか補ってきた。とはいえ、ロシア軍に余剰の戦闘力があふれるほどあるのかと言えば、そういうわけではない。


ロシア軍はむしろ手いっぱいなのが実情だろう。ドネツク州のほか、ウクライナ南部のヘルソン州とザポリージャ州でウクライナ軍の反転攻勢に対する防衛戦を戦っているし、東部ルハンスク州クレミンナ郊外や、最も重要なドネツク州アウジーイウカでは「反・反転攻勢」も続けている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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