一方、この法律によりコンテンツが頻繁かつ広範に削除されること、また、検閲や監視を妨げる仕組みとして利用される可能性があることも懸念されています。
また、テクノロジーの発展とともに新たな課題が生じています。例えば、AIシステムのトレーニングに使用される大規模言語モデル(LLM)に対して、個人情報をどのように「忘れさせる」のかということ。こうしたデータセットから個人情報を削除するのは、通常の検索エンジンの場合よりもはるかに複雑でしょう。
有害なオンラインコンテンツへの対応
多くの事例からわかるように、データが個人のウェルビーイング(幸福)を脅かす存在となってきています。世界経済フォーラムの「グローバル・コアリション・フォー・デジタル・セーフティ(Global Coalition for Digital Safety)」は、オンライン上の有害なコンテンツに対する取り組みを進めています。企業とパブリックセクターから結集した同コアリションのメンバーは、デジタルの安全性に関するグローバルな原則を策定しました。この原則は、私たち全員が、安全で実りある革新的なデジタルの世界を築く責任あることを認識し、より密に協力・連携できるよう手助けするものだと、世界経済フォーラムの報告書「デジタルコンテクストにおける国際人権規約の適用」で述べられています。
個人に関するデータをインターネット上から削除したい場合、各地域の法令により異なりますが、口頭または書面で要請を上げることができます。EUでは、手続きに必要なテンプレートが提供されており、グーグルやエックスなどの企業は、オンラインの申請フォームで削除依頼を受け付けています。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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