地熱発電を推進する秘策、日本ならではのベースロード電源

プレスリリースより

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※記事初出時、出資金額についての記載がありましたが、誤った情報だったため修正いたしました。お詫びして訂正いたします。
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発電時に二酸化炭素を排出しない地熱発電。火山国の日本には大量の地熱資源がある。また、地熱発電用タービンの生産は日本が世界をリードしているという。しかし、日本では数々の問題があって残念ながら地熱発電が普及しない。そこで海外の高度な地熱発電技術を呼び込むべく、日本のファンドが投資を行った。

日本で地熱発電が進まない理由には、地熱発電に適した場所の調査や試掘に膨大な時間とコストがかかることや、適所はほとんど国立公園内か温泉地にあるため、自然公園法や温泉法の規制があって開発が難しい点があげられる。国立公園などで大規模な工事を行い発電所を建てることはできない。温泉地では温泉を汲み出す井戸の数に制限があったり、温泉の枯渇を心配する業者の反発もある。政府はこうした規制を見直して再生可能エネルギーの開発を推進するとしているが、そこを技術的にクリアする方法もある。

カナダのエネルギー企業Eaver Technologies(エバーテクノロジーズ)は、「Eavor-Loop」という画期的な地熱発電ソリューションを有している。2本の垂直杭と複数の水平杭を接続して、この中を「作動流体」(淡水)を循環させるというシステムだ。水平杭は巨大な熱回収機として働き、熱水を汲み上げることなく地上に熱を伝えることができる。
Eavor-Loopの概念図。左がプロトタイプ、中央がEavor-Loop 1.0、左がさらに高出力なEavor-Loop 2.0(Eavor公式ホームページより)

Eavor-Loopの概念図。左がプロトタイプ、中央がEavor-Loop 1.0、左がさらに高出力なEavor-Loop 2.0(Eavor公式ホームページより)

Eaverは、この装置を短時間に設置する掘削技術や高精度な杭接続を可能にする磁気測距技術など、特許技術を含むいくつもの高度な技術を開発している。それにより、拡張性があり、出力調整ができ、ベースロード電源としての需要と供給を調整できる世界初の地熱発電が実現するとのことで、日本の中部電力をはじめとする世界中のエネルギー企業やMicrosoftを含む投資家から投資が集まるなど期待が高い。
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2020年にカナダのアルバータ州で実証プロジェクトを開始し、今年初めにはアメリカのニューメキシコ州に、垂直深度約5480メートルという実証プロジェクトを完成させた。現在はドイツのゲーレッツリードで4年以内の地域暖房と電力供給の実施を目指して商用施設の開発に取り組んでいる。掘削深度は約4.5キロメートル、電気エネルギーの総発電量は約8.2メガワット。総エネルギーの総発電量は64メガワットを見込んでいる。二酸化炭素排出量4万4000トンに相当するという。
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今回の投資は、エネルギー企業のENECHANGE(エネチェンジ)、BIPROGY(ビプロジー:旧日本ユニシス)、東芝エネルギーシステムズ、三井住友信託銀行が設立した有限責任組合Japan Energy Capitalが運営する脱炭素テックファンド「Japan Energy Capital 2号ファンド」によるもの。ENECHANGE代表取締役CEOの城口洋平氏は、「日本では、地熱発電は未だエネルギー源として十分に活用されておらず、Eavor社のような画期的な技術に投資することは、とくに日本において将来的な大きな可能性を有している」と話している。

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文 = 金井哲夫

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