テキサスとアリゾナの両州ではまだワールドシリーズの興奮が冷めていないが、競争は1対1から1対29へと移行する。29というのは、契約満了でフリーエージェント(FA)となったベテラン選手の獲得競争に参加できる球団の数だ。
球団のオーナーやゼネラルマネージャー(GM)は入札をゆっくりと始めるかもしれないが、すでにスタートラインに並んでいることは間違いなく、2024年以降に活躍してくれると思う選手に大金を注ぎ込む準備はできている。
実際、二刀流のスター選手、大谷翔平がFAとなったことから、各球団がFA獲得に費やす総額は過去最高だった昨年を上回る可能性は非常に高い。米野球専門サイト、コッツ・ベースボール・コントラクトによると、昨年FAだった140人の契約総額は計37億ドル(約5500億円)だった。
一昨年はオーナーらは財布のひもをさほど緩めず、契約総額はそれまでの最高額の計33億1000万ドル(約4950億円)だった。
FAシーズンのピークが、ハロウィーンとクリスマスの間にくるのも、こう考えてみれば納得だ。ハロウィーンには、巨額の年俸を要求する選手のエージェントがゴブリンのように登場。クリスマスには、球団がツリーの下にあるプレゼントを吟味して、その年のFA騒動が今後のタイトル争奪戦の様相をどれだけ変えたかを判断する。
コッツによると、今季終了時点で球団の年俸総額トップはニューヨーク・メッツの2億7410万ドル(約410億円)。次いでサンディエゴ・パドレスの2億6280万ドル(約390億円)、ニューヨーク・ヤンキースの2億5770万ドル(約385億円)となっている。
だがパドレスはFAのブレイク・スネル投手とジョシュ・ヘイダー投手が退団し、年俸総額を削減する意向をすでに表明。メッツもそれぞれ4330万ドル(約65億円)という最高年俸のジャスティン・バーランダー投手とマックス・シャーザー投手をシーズン半ばに放出し、年俸総額削減に着手している。