──ヴァシュロン・コンスタンタンが、新たにヴィンテージウォッチの復刻モデルを製作する理由は何でしょうか? また、ブランドの伝統と歴史を顧客に伝えることは、なぜそれほど重要なのでしょう?
まず、ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史について考えてみましょう。私どものブランドは1755年に創業し、以来一度も途切れることなく、実に268年もの間、時計製造を続けてきました。それこそが、私たちにとって伝統が重要である理由です。もちろん、腕時計に関して特にそれはいえるでしょう。
私たちの「Historiques(ヒストリーク)」コレクションでは、メゾンを象徴する、有名な、そして時には伝説的なモデルにオマージュを捧げています。このコレクションを通じて、私たちはデザイン、技術、耐久性、革新性など、さまざまな側面におけるノウハウと専門性、そしてヴァシュロン・コンスタンタンが、流行を超え、スタイルと時計製造の芸術性において、普遍の存在であり続けるということを示し、証明しているのです。
──過去に製作された腕時計の中から、そのDNAを維持しつつ現代の使い方に合わせてアップデートを施し、新たに復刻モデルとして製作するのに最も相応しいと思われるものを、どうやって選定するのですか?
メゾンの途方もなく豊富な遺産を考えると、候補はかなりの数になるでしょうね。ヒストリーク・コレクションでは、過去の重要なモデルを厳選して提供しており、そのすべてがヘリテージという観点から重要なものです。
例えば「アメリカン1921」は「狂騒の20年代(Roaring Twenties)」と呼ばれる1920年代の米国市場向けに発表されたすばらしい格別な時計で、クラシックなデザインに、手首を回さずに時刻を読み取ることができるように斜めに表示された文字盤と、1時の位置に配置されたリューズという捻りを効かせているのが特徴です。