新型コロナ後遺症は、血中セロトニン濃度に関係か

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ロングコビットの診断と追跡に役立つバイオマーカーの発見

ロングコビットを診断できるテストや画像検査は、現時点では存在しない。上述の研究結果が妥当なら、血中セロトニン濃度の測定は、ロングコビットに適合する症状を呈する患者において、診断手法の候補として浮上するかもしれない。


これはまた、セロトニンの測定値を用いて病気の状況をモニタリングしたり、各種の治療法によって改善しているかどうか評価するために使用できる可能性があることも意味する。例えば、治療の開始後にセロトニン値が経時的に上昇していたら、その患者は回復に向かっていると考えられるし、ロングコビットの治療を目的とした新たな療法の効果を裏づけることができる。

現時点では、ロングコビットの診断や追跡に役立つそうしたバイオマーカーは存在していないため、今回のセロトニン研究は、有望な新発見につながる可能性がある。

治療法の開発

ロングコビットについては、有効な検査法が存在しないだけでなく、特効のある治療法も現時点では存在しない。現状では、治療よりも、新型コロナウイルス感染症への感染そのものを効果的に予防することに主眼が置かれており、これには新型コロナワクチンの定期的な接種も含まれる。

今回の新たなセロトニン研究は、特効のある治療法を開発する可能性を開くものだ。そうした治療法により、体内のセロトニン量を増加させ、それによってロングコビットの一部の症状を緩和できるかもしれない。

体内のセロトニン量を増やす薬剤は、すでにいくつか存在している。例えば、不安やうつ病の治療によく用いられる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)もその一つだ。

セロトニン量を増加させる薬剤は、特効的な治療法がないこの病気に苦しむ多くの人々にとって、個人の状況に応じた効果的な治療の選択肢になる可能性を秘めている。

将来

セロトニンがロングコビットに関わる体内反応における重要な要素であると断定するためには、さらに多くの研究が求められる。セル誌で発表された今回の研究は、小規模なものであり、この知見を裏づけるためには、もっと大規模な患者群の調査が必要となるだろう。また、「ニューヨーク・タイムズ」紙の報道によれば、別のロングコビット研究の対象者においては、常にセロトニン濃度の低下が見られるわけではないという。

そうした制約はあるものの、今回のセロトニンに関する新研究は、科学界が解明に苦労している疾患をコントロールしたいと願う多くの人々に希望を与えるものである。

forbes.com 原文

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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