何でこういうタイミングで中国と韓国のカーメーカーが日本市場の挑戦してくるかというと、簡単に言って理由は2つある。1つは欧米と比べて日本はEVの普及が遅れていること。だから、韓中のメーカーは優秀なEVを販売すれば、成功するチャンスがあると考えている。
もう一つは、海外でBYDやヒョンデはすでにかなり売れていること。ドルフィンはグローバルで43万台以上販売されたと言うので、確実なヒット作と言える。それだけ海外で認められた商品なら、EVのシェアが2%しかない日本に出してもイケるじゃないか、と思ったらしい。
今回僕が乗ったのは、BYDのEVモデル、世界で売れた「ドルフィン」だ。同社はすでに日本にコンパクトSUVタイプの「アットー3」を投入しているが、これに続く第2弾。
パワフルでコストパフォーマンスが優秀な中国車。363万円のスタンダード仕様と、407万円のロングレンジの2タイプある中で、試乗したのは、より強力な駆動用モーターと大容量のバッテリーを搭載した上位グレードの「ロングレンジ」。
サイズ的には、フォルクスワーゲン・ゴルフと同じCセグメントのハッチバックに当たる。車名のとおり、イルカの顔、特に目を連想させるフロントマスクはユニークだけど、多少保守的に感じる。リアのエッジやプロポーションは良いにしても、ノーズ部分にはもう少し冒険的なデザインが欲しかった。ちょっとお洒落なヒョンデが「トミー・ヒルフィガー」のシャッツなら、BYDはクオリティは高いけどデザインが少し平凡な「ユニクロ」のシャッツのようだ。
室内のデザインもかなり凝っている。ダッシュボードにある波を形にしたエアコン吹き出し口や、外観のコンサバなデザインとは反対に、イルカの胸ビレ型のドアハンドルなどはは大胆だ。それぐらいの冒険は褒めたい。車名がドルフィンだからね。