船舶も後付け機器で脱炭素化へ 「ローターセイル」を普及させる方法とは

プレスリリースより

大型船舶の燃料消費量と二酸化炭素排出量を削減する手段のひとつとして、風力推進補助装置「ローターセイル」が注目を集めている。大きな円筒の柱を回転させることで推進力を得るこの装置は、既存の船舶に後付けできるという利点がある。それをリースという形で普及させようという事業が検討されている。

ローターセイルは、回転する筒によって周囲の気流を変えて一方向に力を生じさせるマグナス効果を利用した装置だ。19世紀に発見された現象だが、これをフィンランドのノースパワーが現代の技術で制御する先進的な船の「帆」に進化させたのが「ローターセイル」だ。その利点は、新造船だけでなく既存の船にも取り付けられるところにある。
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国連の国際海事機関(IMO)は、2050年までに船の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を立てていて、海運業者は代替燃料への切り替えなどの対応を進めている。ローターセイルは重油を燃料とする従来の船舶の燃料消費量と温室ガス排出量を減らすことができる。ノースパワーによれば、直径4メートル、高さ24メートルのローターセイルで、真の風が105度から135度または225度から255度、秒速22メートルのとき、前方への推力は2000キロワット相当以上、燃料と温室効果ガスは5〜20パーセント削減できるということだ。代替燃料で航行する船に搭載すれば削減効果はさらに高くなる。

ノースパワー、飯野海運、みずほリースが共同で、ローターセイルをリースする合弁事業に向けた基本合意書を締結し、その市場性を調査したうえで事業開始を目指す。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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