フォーブスが毎年発表している「セレブの死後収入ランキング」最新版のトップ13に入った人たちの過去12カ月の収入は、合計およそ4億7000万ドル(約710億円)だった。
3年ぶりに1位となったのは、マイケル・ジャクソンだった。2位はそのかつての「義理の父」、エルヴィス・プレスリー。3位はドアーズのキーボーディストだったレイ・マンザレクとなっている。
今回のリストに入った13人の1年間の収入の総額は、約16億ドルという記録的な高額に達した前年と比べ、約70%の減少となった。急激な減額の一因は、亡くなったミュージシャンたちの収入を一気に押し上げていた音楽カタログの売却が、大幅に減っていたことだ。
前回のリストに名前を連ねたセレブたちは、その半数以上が知的財産権の売却で多額の収入を得ていた。一方、今回はマンザレクのみとなっている。遺産管理人がバンドのギタリストであるロビー・クリーガーとともに、ドアーズに関連してそれぞれが所有していた権利を、米音楽出版社Primary Wave Musicに推定8000万~1億ドルで譲渡した。
エンターテインメント業界を専門とする米国の弁護士、バーナード・レズニックは、音楽カタログの売買が減少していることには主に3つの理由があると述べている。
投資が大きな利益を生むようになるまでには時間がかかるが、レズニックによれば、現在はそれ以上にカタログを取得しようとする企業が資金不足に陥っていると指摘する。また、借入コストが膨れ上がっていることも一因だ。
そのほか、供給側の問題もある。過去の人気アーティストや作家のうち、権利の売却に関心を示していた人の遺産管理人たちは、多くがすでにそれらを手放している。これから譲渡しようとする人は、それほど多くはないとみられる。
さらに、存命のうちに権利を売却するアーティストも増えている。ジャスティン・ビーバー、ケイティ・ペリー、ドクター・ドレーはいずれも2億ドル以上で、作品に関して自身が持つ権利を譲り渡している。
ただ、それでも死後に再び収入を増やすスターは、今後も現れるだろう。『マルガリータヴィル』で知られるビリオネアのシンガーソングライター、ジミー・バフェットは、2023年9月にがんで死去。その数週間後には、初めて米ビルボード・アルバム・チャートで1位になっている。