「競争は激化している。今でも米国が世界をリードできている理由の1つは、政府が多額の投資を行ってきたからだ」と、ロボティクス企業Apptronikのジェフ・カーデナスCEOは話す。
ここ最近のロボティクスの分野では、以下をはじめとする技術革新が数多く生まれている。
・アマゾンは、アジリティ・ロボティクスと提携し、倉庫用のヒト型ロボット「Digit」を発表。
・テスラは、万人のためのヒト型ロボット「Optimus」を製造している。
・Sanctuary AIは、カナダのバンクーバーで人間並みの知能を搭載した世界初の汎用ロボットを開発している。
・Figure.aiは労働の担い手となるロボットを開発している
・Fourier Intelligenceは、中国でヒト型ロボット「GR-1」を製造している。
・ボストン・ダイナミクスは、NASA向けにヒト型ロボット「Atlas」を製造するなど、ハイエンド・ロボットの開発を続けている。
カーデナスによると、これらの企業の多くは、DARPAのロボティクス・チャレンジにルーツを持つという。米国では現在も技術革新や投資が行われているものの、かつてに比べて減少しており、米国にとって国際競争力低下のリスクになっていると彼は指摘した。
「米国は、世界初の産業用ロボットを発明したが、産業オートメーションの波に乗り遅れた。ユニメート・アームと呼ばれるこのロボットは50年代後半に発明され、60年代前半にゼネラルモーターズの工場に導入された。しかし、開発企業であるユニメーションは、80年代にスイス企業に買収された」とカーデナスは話す。
彼によると、ユニメーションは必要な資金を得ることができず、最終的にはウェスティングハウスに買収され、1988年にはスイスのストーブリに売却された。
その結果、ロボットアームやその他の産業用ロボットは、日本のファナックや安川電機、中国の家電メーカーMidea Group(美的集団)傘下でドイツに本拠を置くKuka、スイスのABBが主に製造している。これらのビッグ4は世界シェアの57%を独占しているという。
米国は、昨年12月時点でアルテミス計画やNASAの火星探査車、国防総省の予算、全米科学財団の国家ロボットイニシアティブ3(NRI-3)の資金の一部をロボティクスに投資している。米政府がロボットを経済成長や生活の質の向上、人々のエンパワーメントのために活用するための取組みをまとめたロードマップの最新版は、2020年に作成されたものだ。軍事分野に焦点を当てたその内容には、大きな注目が集まっている。