以下、著書『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』が母国台湾でベストセラー1位となり、日本でも翻訳書が18万部突破の大ヒットとなったことで大注目されるジル・チャン氏に、サーバントリーダーシップと東アジアの文化の適合性について、また、「内向型人間たちのカリスマ」ともいえる彼女自身とこのリーダーシップスキルの相性について聞いてみた。
チャン氏はハーバード大学ほかでリーダーシップ・プログラム修了。内向型のリーダーシップ開発にも貢献し、2018年には「ガールズ・イン・テック台湾40アンダー40」を受賞している。
リーダーシップ・スキルがケーキの「スポンジ」だとすれば、リーダーシップ・スタイルはさしずめ、「アイシング」といっていいでしょう。
スポンジはケーキの基本を提供し、アイシングはケーキに個性と価値を与えます。
そして、「サーバントリーダーシップ」は、マネジメントを別次元に引き上げるリーダーシップ・スタイル、効果的なアイシングの一種といえるでしょう。
とりわけ東アジアの文化は、「私」ではなく「私たち」を重視するサーバントリーダーシップに適していると思えます。調和、傾聴、他者尊重を重視する文化的特性がすでにあるからです。
そして、個人のリーダーシップのレベルを超えて、「社会のニーズ」という視点から出発するサーバントリーダーシップスタイルのビジネスも、社会の潮流に合致しているといえるでしょう。「ザ・ボディショップ」、「ベン&ジェリーズ」といった最近の社会的企業(ソーシャル・エンタープライズ)や、「パタゴニア」などのベネフィット・コーポレーションの台頭は、まさにその証拠です。
私自身のことをお話しするとすれば、サーバントリーダーシップは自分の性格や価値観に適合しているので、私はすでに、無意識のうちにこのスタイルのマネージャーになっていたと思いますね。
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