北米

2023.11.01

グーグルCEO、自社の検索エンジンをデフォルトにする契約を擁護

グーグルCEOのサンダー・ピチャイ(Getty Images)

グーグルCEOのスンダー・ピチャイは10月30日、同社が検索市場を独占しているとする反トラスト法裁判に注目が集まる中、他社のデバイスでグーグルをデフォルト検索エンジンにするために金銭を支払う自社の行為を擁護した。

ピチャイは30日、アップル製品で「グーグル検索」をデフォルトの検索エンジンにする契約は「ユーザーが当社のサービスを極めてスムーズにする」ためであると証言した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙による。

ピチャイによると、アップルは2016年にグーグルとの交渉に入る前、他社の検索エンジンを検討していた。同氏はグーグルが「実に多くの製品で激しい競争をしなければならなかった」と語った。

グーグルは2021年、他社のデバイスでグーグルをデフォルト検索エンジンにするために、アップル、サムスンを含むテック企業各社に263億ドル(約3兆5000億円)以上を支払ったことが、先に司法省が公表した証拠で明らかになっている。

法廷に提出された証拠の中には、ピチャイが2007年に送ったメールもあり、その中でピチャイは、ブラウザのSafariでユーザーがグーグルとヤフーの検索エンジンを簡単に切り替えられるようにするようアップルに持ちかけ、後に、Safariで唯一の検索エンジンになることの「世間体」への懸念を示していた。

「デフォルトにすることが当社の製品やサービス、具体的にはグーグル検索の利用増加につながることを私たちは知っています」と30日にピチャイがグーグルのアップルとの契約について証言した。「すなわち、そこには明確な価値があり、それは私たちの求めていたものです」

「ユーザーには選ぶ権利があり、みんながウェブサイトからウェブサイトへと移動している……という理屈はまったくのでたらめです」とマイクロソフトCEOのサティア・ナデラは今月証言し、インターネットがもはや「グーグル・ウェブ」になったと信じていることを付け加えた。

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連邦地方裁判所判事のアミット・メフタは、追加の証言を得た後、来年早くにグーグルの反トラスト法裁判の判決を下す可能性が高いとAP通信は報じている。メフタがグーグルは法を犯したと裁定した場合、将来グーグルがデフォルト検索エンジンになるための契約を結ぶことが禁止されるかどうかを含め、同社の今後を決めるための裁判が別途開かれる。

2020年、司法省は11名検事総長とともに、グーグルに対する16カ月におよぶ捜査の結果、同社を反トラスト法違反の疑いで提訴した。同訴訟は、米国デバイスのほとんどでグーグルの検索エンジンをデフォルトにする「排他的契約」によって、同社が競合他社に損害を与えていると主張。さらに同訴訟は、グーグルが70%以上の検索広告市場シェアによる「独占力」を有し、ライバル企業の競合を阻止する「参入障壁」を作っていることも指摘している。

以前グーグルは、同社の検索エンジンが市場を支配しているのは、同社製品が競合よりも優れているからだと主張したとAP通信は報じている。「Google」は、マイクロソフトの検索エンジンであるBingで最も多く検索されたワードであるとグーグルの主席弁護士、ジョン・シュミットラインは言った。グーグルは、同社がデジタル広告分野を支配し、反トラスト法に違反していると主張する訴訟も起こされている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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