SWPCが主導する研究パートナーシップ「宇宙天気予報テストベッド(実証実験場)」による今回の最新予測は、現在の第25太陽周期に関しては2019年12月以来となる。当時の予報では、太陽活動の極大期(太陽の約11年周期で最も活動が活発になる時点)は2025年中に到来するとされていた。また、第25太陽周期は低調になると示唆されていたが、それとは程遠い状況となっている。
到来時期の最新予測
SWPCが示した太陽極大期の新たな到来時期は、2024年1月~10月となっている。これは太陽黒点の観測から導かれた結果だ。黒点の観測数は、ここ数週間は極めて少なくなっているものの、去年1年間ほどは予想を上回っている。SWPCは現時点で、太陽極大期の月の黒点数極大値を137~173と予測している。極大期の時期は、それが過ぎてから初めて正確に特定できる。SWPCの2019年の予測では、2023~2026年に発生する可能性が高いピーク時期の黒点数が95~130となっていた。
米コロラド大学ボルダー校環境科学共同研究所(CIRES)の科学者で、SWPCで太陽周期部門を主導するマーク・ミーシュは「今回の最新の実験的予測が、2019年のパネル(専門家会議)による予測よりもはるかに精度が向上するとともに、従来の太陽周期予測とは異なり、最新の太陽黒点観測データが利用可能になるのに伴って月単位で継続的に更新されることを期待している」と話す。「これはかなり著しい変化だ」
黒点と太陽周期
黒点は、太陽の表面にある黒色の領域で、太陽の赤道の両側に出現することが多い。太陽表面の磁気活動によって発生し、磁気活動の変動を示している。黒点数の急増は、太陽活動の活発化と太陽放射の増加と相関する傾向がある。黒点の急増と、それがいつ起きるかの予測が極めて重要である理由は、太陽活動の活発化が太陽フレア(太陽表面の大爆発)とコロナ質量放出(CME)の増加を意味し、これらが地球の大気と磁場に影響を与えるからだ。これにより、オーロラが増加するだけでなく、人工衛星、航空機の乗員、宇宙飛行士に対する危険が高まるほか、太陽嵐の増加によって地球の配電網への脅威が増大する可能性がある。