吉田:私はもともと学生時代に劇団を経営していて、それから半導体業界などを経て、畑違いのIT業界に来た経緯があります。14年にクラウドワークスが上場して以降は、お金が回らない演劇のような業界と、お金が回るIT業界のギャップについて課題意識が強くなり、資金調達や事業化が難しいものに対して支援をするようになりました。そんななか、16年に小嶌さんにお会いして衝撃を受けました。5年間もひたすらごみ拾いのビジネスをやっているのかと。それで、機会があれば応援したいとお話ししたんです。
小嶌:その言葉はよく覚えています。実際、自分なりの戦略を描けるようになってきた18年の秋ごろに、駄目もとで資金調達のご相談をしてみたところ、即答でOKしてくださって。すごく拍子抜けをしました。
吉田:私は、資本効率が悪いかもしれないけれども、複雑な社会課題を解決するものに対する資金流入の道筋をつけたい。世界のごみ問題は必ず解決しないといけません。そこにこれだけ執着できる起業家は世界に必要な存在です。
小嶌:思うような成果があげられないこともありますが、吉田さんはいつも視野を広げてくれる助言をくださって、とてもありがたいです。
吉田:それは意外ですね。実は私のなかでは真逆で、いつもお話ししていると小嶌さんはだんだん不機嫌そうになっていく印象が強くて(笑)。
小嶌:心外です(笑)。僕は学者肌なので、反論をしたり、議論をしたりするうえで、結果として残った結論がいいものだという考え方です。アドバイスをただ受け止めるなんて、聞いていないも同然。吉田さんとお話する時間は大事なんです。
吉田:なるほど、アドバイスをうのみにするのではなく、自分はそれをどうとらえたか反論していると。小嶌さんがすごいのは、全くブレないことですよね。どこまでもミッションドリブンというか、世界からごみをなくすことしか本当に頭にない。