起業家

2023.11.02 12:30

圧倒的情熱で世界からごみ問題をなくす

Forbes JAPAN編集部
小嶌:おかげさまでごみ拾いSNS「ピリカ」は120以上の国と地域で使われるようになりました。ビジネスとしても、メンバーが20人規模に増えて、今は売り上げが1億円を超えるまでに成長しています。

吉田:私が出資した当時は、多摩川の河川敷で、川のなかから集めたごみをブルーシートに1つずつ並べて調べていましたよね。ごみの採取用にすごい装置を開発したと言って、小学生の夏休みの工作みたいな、バケツでつくったものを自信満々に見せてくれて(笑)。ごみへの執着がすさまじく、ある種の異常性というか、突出した才能を感じます。

小嶌:よく覚えていますね(笑)。そのときは、川や海を流れるマイクロプラスティックのことを調べたいと思ったのですが、調査する方法がなかったので自作したんです。ホームセンターで買ったバケツの底をくりぬいて、パーツをくっつけて。でも、その調査では、グラウンドの人工芝の削りかすが大量に川に流れていることがわかりましたし、後にその装置が調査サービス「アルバトロス」として完成して、3年後には国連環境計画(UNEP)に導入されたんですよ。

吉田:この7月には国立科学博物館の「海展」という特別展にピリカが展示されましたね。国際機関や博物館とのつながりは、新しい経済圏を生み出していると思います。

小嶌:創業から12年の間には、ビットコインだとか、いろんなブームが目の前を通り過ぎていきましたけれど、間違いなくごみ問題が断トツに面白い。当面の大きな課題は、ごみの流出量・回収量を測る世界共通のものさしがまだないということです。日本でつくってきた調査方法をグローバルに広げていきたい。

吉田:悩みや考え事があるときには、引き続き「議論」していきましょう。私も起業家の先輩として頑張っている背中を見せていきたい。


よしだ・こういちろう◎クラウドワークス代表取締役社長兼CEO。東京学芸大学卒。パイオニア、リードエグジビションジャパンを経て、ドリコムで執行役員として東証マザーズ上場を経験した後に独立。2011年11月、クラウドワークスを創業。(写真左)

こじま・ふじお◎ピリカ代表取締役。大阪府立大学卒業後に進学した京都大学大学院を半年で休学し、世界を放浪。道中のすべての国で問題となりつつあったごみの自然界流出問題の解決を目指して、2011年にピリカを創業。(同右)

文 =眞鍋 武 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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