独キール世界経済研究所は、一帯一路プロジェクトの一環として融資を受けたものの、返済困難に陥っている国々に対する救済融資が大幅に増加している事実を指摘している。加えて、中国の融資条件や不透明な慣行は、研究者から批判を浴びている。
中国は、2015年から2021年にかけて、モンゴル、エジプト、パキスタン、スリランカ、トルコなどの一帯一路諸国に対し、多額に上る緊急の流動性スワップの期限を延長した。こうした国々の多くは返済を繰り越しており、しばしば複数年にわたって連続で額を増やしてきた。さらに、オマーン、アンゴラ、ベネズエラ、および前述の国々のいくつかは、同期間に国際収支改善の目的で、それぞれ少なくとも10億ドル(約1500億円)の中期融資を受けた。
モンゴルは、中国に対して多額の債務を抱えている。鉱物資源の豊富なモンゴルだが、2000年代のコモディティブームが去ったあと苦境に陥った。モンゴルの対中債務額は2021年、国民総所得(GNI)の24%に相当し、世界で最も高い水準にある。
パキスタンとエジプトは、いずれも一帯一路プロジェクトから多額の融資を受けたが、国内経済の低迷により、中国が提案する救済融資を受け入れた。
対中債務国に占める返済困難国の割合は近年激増しており、2022年には、中国の対外融資ポートフォリオのうち60%がこうした国々の支援にあてられた。2010年には、この割合はわずか5%だった。
中国の救済融資額は、2014年には約110億ドル(約1兆6500億円)だったが、2015年には大きく跳ね上がり、約300億ドル(約4兆5000億円)に達した。経済危機に陥ったアルゼンチンへの救済融資を80億ドル(約1兆2000億円)以上も増額したためだ。
アルゼンチンが一帯一路に参加したのは2022年だが、それ以前から中国の融資を受けていた。同年、中国はベネズエラにも、国際収支改善の目的で100億ドル(約1兆5000億円)を融資している。