ヘルスケア

2023.11.02 09:00

女性特有のがん、アジア太平洋地域で急増 深刻な課題に

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患者の視点が政策に取り入れられていないことも課題です。これは、無意識のバイアスの原因となり、女性の健康とウェルビーイング(幸福)に不可欠なパーソナライズされたケア提供の障壁となる可能性があります。私たちは、この負のサイクルを断ち切らなければなりません。

変革に向けたステップ

WHOが掲げる、子宮頸がんと乳がんに関する目標達成に向け、APAC諸国が優先的に取り組むべき重要な4つのステップを紹介します。
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一次・二次予防に重点を置く- 子宮頸がんに対する国の予防接種プログラム(HPVワクチン接種)を展開・強化すると共に、住民を対象とした子宮頸がん・乳がん検診プログラムの実施を国が主導する。

革新的な資金調達モデルの模索 - 政府や財団、開発機関、多国間銀行などと協力して資金調達モデルを特定し、乳がんや子宮頸がんに対するコストの課題を克服する。女性特有のがん患者の健康転帰を改善することには大きな経済的利益があり、投資対効果が高い。

患者に適したクリニカルパスの作成およびサービスの設計 – 適切な医療施設への案内と明確な治療計画の作成は行うことで、必要な治療やサポートに患者が迅速にアクセスできるようにする。また、パーソナライズされていて、異なる人口グループ(都市部と農村部など)の患者ニーズにも対応するサービスを提供する。
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政策とプログラムの成果を追跡 - 主要な成果指標を設定し、予防接種、検診、患者の転帰に関する情報を登録することで、予防と治療内容を追跡できるようにすると同時に、将来の活動に役立つ情報のデータベースを構築する。

がんとがん治療の経験に関する影響の性差を調査している、女性、がん、権力に関するランセット委員会(The Lancet Commission on women, cancer, and Power)は、こうした取り組みを強化しています。

同委員会は、女性特有のニーズに対応したがん治療の重要性を強調しているほか、女性と少女のがんの早期発見と、診断へのアクセスを向上させるための戦略の設計と実施の必要性を訴えています。そして、医療従事者に対するジェンダー教育とトレーニングも不可欠として、導入を推奨しています。

アジア太平洋地域をより健康に

以上のことはすべて、女性やその家族、コミュニティに及ぼす乳がんと子宮頸がんの影響を大きく軽減する可能性を秘めています。しかし、こうした取り組みの実現には、女性特有のがんが政策の優先事項とされる必要があります。例えば、子宮頸がん撲滅のための国家計画や、WHOのガイダンスに沿った乳がんに対する戦略的計画を実行すること、予防、検診、治療を包括的なユニバーサルヘルスケアに組み込むことなどです。

そして、女性特有のがんの治療にかかる経済的負担と、より良い予防および治療がもたらす経済的利点を考慮した上で政策を形成することも重要です。子宮頸がんに関して言えば、WHOの目標とする撲滅を達成するために1ドル投資されるごとに、3ドル以上のリターンが期待できると見積もられています。

悪化する統計と女性特有のがんが、APACの何十万もの女性に与える深刻な影響は、見過ごすことができません。切迫した状況にあるからこそ、この地域の女性やその家族を苦しめる不公平な負担を軽減する重要な機会を得ているのです。

こうした機会を捉え、乳がんや子宮頸がんの予防とケアを普及させることを第一歩に、女性の健康が重要視されるよう力を合わせましょう。より健康で豊かなアジア太平洋地域の未来を構築するために、今日変えることができる行動に焦点を当てましょう。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

文=Ahmed Elhusseiny, Area Head of Asia-Pacific, Roche Pharmaceuticals

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